忘れてはいけない王の囲い

代表的な囲いの一つ「美濃囲い」

代表的な囲いの一つ「美濃囲い」

以前、私は「囲いの重要性」について記事にした。(関連記事「3匹の子豚から学ぶ王の囲い方」) 

将棋は「王将」を詰まれれば敗戦である。囲いとは、勝敗を決する「王将」を安全な位置に移動し、「金将」や「銀将」などの駒で守るシステムのことだ。

過去記事で述べたように、「王将」「飛車」「角」の3種類を除く駒は、前進は得意だが後退は苦手。それゆえ、あまり考えずに駒を動かせば攻めオンリーになってしまうおそれがある。日常生活で外出前に鍵をかけるように、攻める前に「王将」を囲うことが、初心者の内は特に大切なのである。守りは意識しなければできないものだからだ。だが……。
 

守りの大切さは、わかっているけれど


あるプロ棋士の方が大人を対象とした将棋講座でこう語った。

「今、皆さんの対局を見せていただきました。その上でアドバイスします。とにかく『王将』を一マスでもいいですから、移動して戦いましょう」

いみじくも、この言葉がよく表している。意識しなければ、「王将」が一マスも動かずに終了してしまうことだって珍しくないのだ。さらに、この話には続きがある。なんと、この後の対局でも「王将」をまったく動かしていない人が半数以上もいたのだ。これには講師も苦笑いであった。大人でさえ、この状況……。いわんや子ども達をや、である。子ども将棋教室を開講している私にとって、重要な課題の一つがこの「囲い」の指導なのだ。
 

囲いの大切さを体験する練習方法はないのか


もちろん、5級以上(関連記事「自分の上達を把握する指標、段級位」)の子ども達は守りの大切さを知っているので、しっかりと「王将」を囲っての対局をする。だが、それ以下の子ども達の将棋は、先ほどの例のように「王将が1マスも動かない」ことも多い。理屈で「囲い」の大切さを説明しても、なかなかピンとこないようだ。子ども達に、自ら「囲いたい」と思うような体験をさせることができないだろうか。私は試行錯誤した。そして、ついに、たどり着いたのだ。それが、これから紹介するトレーニング方法「陣組み将棋」である。子どもを対象に考案した方法だったが、やってみると大人の方にも好評であった。ぜひ、みなさんにもお試し願いたい。