将棋/将棋上達のコツ

3匹の子豚から学ぶ王の囲い方

将棋で大切なのは、実は、セキュリティー感覚。どんな対局も、王将を詰められたら負けなのです。逆に言えば、王を守りきれば負けないということ。だからこそ、必要になってくるのが囲いの知識。今回は、3匹の子豚を例に、材料や労働時間などのコスト面や耐久性の面からも、囲いをガイドします。

有田 英樹

執筆者:有田 英樹

将棋ガイド

あなたは今からお出かけである。楽しいショッピングだとしよう。ウキウキである。そんな時にこそ、忘れてはいけないのが戸締まり。自宅のセキュリティーそっちのけでのお楽しみは不用心、泥棒に入られてしまいますぞ。

将棋で大切なセキュリティー感覚

実は、将棋を始めたばかりの人に多いのが、この不用心なのだ。「王将」というお宝をほったらかしにして、ウキウキ「攻め」にお出かけ。気がついたら、負けていた。そんな将棋をついついやってしまうのだ。言うまでもなく、詰められたら即負けのお宝は、しっかり守らなければいけない。セキュリティー感覚を身につけねば、危なっかしくて、伸び伸びショッピングできないのと同様だ。

では、将棋で言う「戸締まり」とは何なのか。説明しよう。「戸締まり」とは、自玉を他の駒というボディガードで囲うことなのだ。実は、この囲いにも、研究され尽くした形がある。それをしっかり理解すれば、お宝安全度がぐっとアップする。あなたの棋力もアップし、初心者から卒業と言えるわけだ。ではこれから、囲いについてガイドしていこう。

初心者囲いは、なぜ悪い

初心者囲いの欠点

初心者囲いの欠点

右図をご覧いただこう。2枚の銀が金の上に移動し、王を囲っている。とにもかくにも、王を囲おうという考え方は立派である。すでに、あなたが、将棋上達の門を叩いている証拠だ。しかし、残念なことに、この囲いは「初心者囲い」という、ありがたくない俗名をつけられている。せっかく囲ったものの効果が薄いのだ。いやむしろ、自分の首を絞めているようなもの。なぜか?その理由を理解することによって、あなたの囲いに対する考え方がぐっと深まるだろう。

 

どちらがボディガードなのかわからない

どちらがボディガードなのかわからない


実は、この囲いには2つの面で欠点がある。一つは、「王」が非常に窮屈なことだ。ご覧のように「王」が動ける場所は、真上のたったの1カ所だけ。これでは囲いと言うより、牢獄である。自分の金銀がじゃまになり、いざという時に逃げ出すための避難経路がないのだ。

そして、もう一つ。色をつけた2枚の「金」に注目していただきたい。この「金」は「銀」の下に位置しているものの、「銀」からは全く守られていない。「銀」が真下に動けないからだ。しいて言えば、「金」は「王」によって守られてはいる。だが、考えてほしい。「王」を守るための「金」が、逆に守られているのだ。もちろん、全方位に動ける「王」は守りにも強い。だが、さすがに、2枚の「金」を守るのでは、どちらがボディガードなのか、わからなくなってしまう。ようするに、本末転倒なのである。ゆえに、堅そうに見えるこの囲いだが、「初心者囲い」と呼ばれている、つまり安全度が低いのだ。このように考えていけば、質の高い囲いの姿がおぼろげながらでも見えてきたのではないだろうか。
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