将棋/将棋上達のコツ

将棋の級を上達具合の目安に!実力を把握するための指標:段級位とは

何かに取り組む上で、自分の上達を知ることは大切です。そのためには、現在の自分を表してくれる目安・指標が必要です。将棋の場合は、段級位というシステムがあります。その意義とあいまいさを解説しながら、ガイドとして大胆な提案を行います。

有田 英樹

執筆者:有田 英樹

将棋ガイド

上達を知るということ

将棋の級を上達具合の目安に

将棋の級を上達具合の目安に

たとえば、跳び箱。昨日まで3段しか跳べなかった人が、今日は4段を跳べた。これはスキルアップした証拠で、それが客観的な数字としてはっきり表れている。たとえば、ピアノのレッスン。昨日まで弾けなかった曲が、つまずかずに弾けるようになったとなれば、自分自身で上達を実感できる。そうなると、意欲がわく。「よし、次は、もっと難しい曲だ」とモチベーションが高まる。そう言う意味で、自身の上達を知るということはとても重要だ。
   

名人も子どもも同じ将棋

同じボールでも、素人が投げれば球速90kmそこそこだが、プロ野球の一流投手が手にすれば、150kmを越す。だが、将棋だとこうはいかない。始めたばかりの子どもが持った「歩兵」も、名人が持った「歩兵」も同じ1マスしか進めないのだ。余談だが、落語に「将棋の殿様」という演目がある。将棋に凝った殿様が、家来相手に対局する話だ。負けず嫌いで横暴な殿様はこう言った。

殿様:余の桂馬は名馬である。
家来:ははあ。
殿様:名馬であるがゆえ、五つ六つ跳ぶのは当たり前であるぞよ。
家来:ははあ?

では、落語ならぬ現実の将棋の上達は、どうやって知ることができるのだろう。
 

勝ち負けではわかりにくい上達

たとえば、今まで勝てなかった人に、勝てるようになったとしよう。これは「上達したぞ」と感じるかもしれない。しかし、本当にそう言えるだろうか?というのも、勝ち負けはあくまでも相対的なものだからだ。もしかすると、自分が成長したからではなく、相手が弱くなってしまったために、勝ち星が増えただけのことかも知れないのだ。

逆の場合もある。たとえば、AさんとBさんという将棋仲間がいたとしよう。昨年はAさんが勝ち越した。そこでBさん、今年こそと研究に打ち込んだ。将棋関連の本を買い込み、棋譜並べや詰め将棋に励んだ。しかし、願いもむなしく、結果は同じ。Bさんとほほである。では、Bさんの将棋は上達していないのか?必ずしも、そうとは言えまい。毎日の努力を考えれば、きっと将棋の実力は向上しているはずだ。

こんなことも考えられる。Aさんも、Bさん同様に研究を積んでいた。だから、二人そろって棋力が向上していたために差が縮まらず、この成績となってしまった。このように、特定の人との勝ち負けだけでは、自身の上達が測りにくいのが将棋だ。しかし、これでは意欲がわきにくい。自分が強くなっているのかどうか、確かめたいのが人情であろう。
 

将棋には級位と段位がある

日本将棋連盟(以後、日将連と略す)が定めるアマチュアの級位は、10級から始まり、1級までとなっている。その上が段位となり、初段をスタートとして、七段までとなる(特例として八段が認定されることもある)。この段級位、多くの場合は、「将棋世界」などの書籍や近くの将棋道場や将棋教室、支部などで認定を受けることができる。認定されれば、昇級を目指せばいい。つまり、目標ができ、意欲がわくというわけだ。

前述のように、日将連は、10級からのスタートとしているので、その意味ははっきりしている。将棋のルールを覚え、指すことができれば、10級だ。ところが……。
 

あいまいな規定?

では、9級と8級ってどう違うの?と聞かれると、困ってしまうのが実情だ。こんな実例もある。ある支部道場で3級認定されている人が、他の道場では5級、また、日将連のウエブサイト検定では2級だったそうだ。

誤解しないでほしい。だからといって適当にごまかして認定しているわけではない。どこも、数多くの経験やデーターに基づいて認定していることに違いない。たとえば、その支部道場の3級の人と互角の勝負をしているから、あなたも3級を認定しますという方法を採っている場合、これは、その道場の持つ経験をふまえてのことである。だから、堂々とその級位を名乗って良いし、信頼して良い。そして、昇級をめざす指標としてほしい。

ただ、段級位というシステムそのものに、あいまいさが内在するのだ。これも知っておかねばならない。これは、将棋だけに限らない。柔道や剣道など、段級位システムを採用しているすべての競技に共通している。上級者が下級者に負けるなんてことは、まったく珍しいことではない。
 

ガイドからの提案

段級位の持つあいまいさ、その上での意義は理解していただけたのではないかと思う。だが、近くに認定してくれる場所がない方、また、認定まではちょっと……と気が引ける方もいるに違いない。さらに、認定は受けたものの、あいまいさをできるだけ解消したいと思われる方もいるかもしれない。そんな方のために、ガイドとして大胆に提案したい。
 

まずは「目指せ5級」を目安に

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めざせ5級「自分は何級?」

おわかりのように、5級とは級位と初段の真ん中である。その上で次のように定義したい。

「将棋の5級とは、最低1冊の棋書(戦法解説など将棋関連の書籍)を読破し、何か一つ、得意戦法を持つことである」

これなら、勝敗とは関係ない。絶対基準として、自分だけでも判断できる。だから、目標にもできるはずだ。また、初めて会った人と対局する場合に、棋力を聞かれることがある。その際にも、「私は5級はあると思います」や「まだ、5級には届いていません」などの受け答えができる。1冊の棋書読破はやや厳しい感もある。だがぜひ、がんばってほしい。5級になれば、その時の調子によっては初段を破ることができるとも言われているのだ。ちなみに初段については、私は、こう定義する。

「将棋の初段とは、対局を終えたあと、初手から投了までを相手の手も含めて再現できることである」

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