将棋は知育?
回り将棋のルールと遊び方を学ぼう
日本人の遊び心が生みだした文化の一つなのですね。このようなお楽しみ将棋に興味を持ち、そこから本格将棋へと進んでいく子ども達も少なくありません。つまり将棋を題材にした「知育」のきっかけとなるものでもあるのです。
<目次>
大人気のお楽しみ将棋「回り将棋」
そんな中から、今回は子ども達に大人気の「回り将棋」を紹介します。「回り将棋」は将棋盤を使用した一種の「すごろく」です。地方によって、その呼び名も「ふまわり」や「すごろく将棋」「出世将棋」といろいろですし、ルールもそれぞれです。だから、今から紹介する以下のルールは、その一つにすぎません。でも、ガイドが開いている子ども将棋教室「将星会」で、子ども達といっしょに工夫し、創り上げたものです。題して将星会式「回り将棋」。ご家族、仲間、友達で、ぜひお試し下さい。
将星会式「回り将棋」のルール・遊び方
それでは早速、そのルールを説明しましょう。慣れるまでは、下記を印刷してプレイしてくださいね。さあ、楽しい「回り将棋」の始まりです。回り将棋の始め方
プレイヤーは2~4人。用意するものは盤と駒だけです。各人が「歩」を1枚取り、盤の隅(すみ)に置いて始めます。自分の「歩」を置いたマスが自分の陣地(じんち)です。なお2人でやる場合は対角線に1個ずつ置きます。駒は時計の向きと反対に進みますので、その方向を向けます。画像は4人で行う場合のスタート場面です。普通のスゴロクはスタート地点が1つですが、「回り将棋」はプレイヤーの数だけスタートがあるのです。回り将棋のサイコロ駒について
■進み サイコロの代わりに「金」4枚を使います。この4枚を「サイコロ駒」と呼びます。サイコロ駒を両手で包み込むように持ちます。しっかり振って、盤の上に振り落とします。もちろん、場合によっては机の上や畳の上に振り落とす場合も考えられます。表の駒の数だけ進みます。進む道は一番外側のマス目だけです。たとえば、上の画像では「3マス」進めます。 ただし以下の場合は特別ルールです。■戻り サイコロ駒が一つでも重なった場合、表の数だけ戻らねばいけません。例えば右の画像では「2マス」戻ります。ただし、戻る場合は最高でも隅までとします。
■裏駒
サイコロ駒が全部裏だった場合は「20マス」進めます。この場合も、どれかの駒が重なれば戻らなければなりません。
■立ち駒
サイコロ駒が立った場合についてです。横向きに立ったら「5マス」, 縦向きに立ったら「10マス」進めます。画像の場合は「10」+「2」=「12マス」進めます。
■逆立ち駒 めったにないことですが、逆さに立ったら「100マス」進めます。画像は「100」+「2」=「102マス」進めます。ちなみに、ガイドは54才ですが、逆立ち100を今までに1度しか見たことがありません。
■裏なし 全く裏の駒がなかった場合のルールです。この場合は、もう一度振ることができるのです。たとえば、画像の場合は裏の駒がありません。ですから、「10」+「5」+「2」=「17マス」進んで、もう一度、振ることができるのです。再度振って、さらに裏の駒がなかった場合は、連続して振ることができます。つまり何度でも繰り返し適用するルールなのです。
■落ち駒
テーブルの上から振り駒が落ちた場合は、1つも進めませんし、戻りもしません。これを「落ち駒」と呼びます。将星会ではテーブルの上としていますが、盤の上としても良いと思います。もちろん、最初から床や畳の上に振る場合は、このルールは適用されません。
回り将棋の進み駒について
進めていく駒を「進み駒」と呼びます。進み方にもいろんなケースがあります。それについて説明していきましょう。■出世
「進み駒」が一周して自分の陣地に戻ってくれば「出世」できます。
「歩」→「香」→「桂」→「銀」と格が上がります。これを出世と呼びます。そして、誰かの「銀」が一周したら上がりで終了です。その時点での出世によって順位が決まります。同じ格の場合は、進んでいる数で順位が決まります。
■「寝かし」と「起こし」
自分より格下の駒を抜いた場合、その駒をひっくり返し、一列内側におきます。これを「寝かし(ねかし)」と言います。
上の画像を見てください。今、「香」の人がサイコロ駒で「3」を出しました。「3マス」進むと格下の「歩」を追い越すことができます。この場合、「香」は追い越した「歩」を寝かすことができるのです。
画像を見てください。コースの内側にひっくり返って寝ているでしょ。そして、寝かされた駒は、誰かがまた追い越してくれるまで寝たまま、つまり、お休みです。誰かに追い越されてレースに復帰できることを「起こし」と呼びます。
※格下の駒がどこかの隅にある場合は寝かすことができません。隅は安全地帯なのです。
※プレイヤーが2人の場合の「寝かし」は1回休みとなります。1回休めば自動的に「起こし」となり、レースに復帰です。
■2あがり
進み駒が他の駒と同じマスにとまってしまった場合は、格に関係なく2人とも2マス進めます。これを「2あがり」と呼びます。
上の画像を見てください。「歩」の人が「2」を出しました。「2マス」進むと「香」の人がいます。
上の画像を見てください。同じマスになった場合は駒を重ねます。
そして上の画像のように、2人ともさらに「2マス」進めます。もし、進んだマスにまた、他の誰かがいれば、さらに「2マス」進めます。
※「2あがり」して自分の陣地に戻ってくれば、出世もできます。ただし、2あがりで格下の駒を抜いた場合は、寝かしはありません。
※「2あがり」はあくまで普通に進んだ場合のみの特権です。さがって重なった場合は適用されません。
■飛び
自分の陣地以外の隅に、ふつうに進んで(さがったり、2あがりではだめ)ちょうど止まったら、次の隅まで飛べます。
上の画像は、「歩」の人がちょうど「1」をだして、隅に進む場面です。この隅は「歩」の陣地ではないとします。
この場合は、上の画像のように次の隅まで飛べるのです。
※「飛び」で陣地に戻ってきても出世できます。
※「飛び」で格下の駒を飛び越えた場合は「寝かし」はできませんが「起こし」はできます。
■戦
進み駒が敵の駒と一直線上に並んだ場合のルールです。
上の画像を見てください。今、「香」の人が「2」を出しました。2マス進みますよね。
上の画像のように「香」と「歩」が一直線上に並びました。この場合、今、進んできた「香」の人が望めば「戦」を宣言することができます。望まなければ、しなくてもかまいません。宣言された場合、相手は「戦」を拒否することはできません。では「戦」について説明します。
「戦」とは上の画像のように駒を向き合わせて、相手の位置との間を互いに往復し、先に戻った方の勝ちという特別ルールです。ただし、先手後手がありますので、後手番までやって、後手も戻れば、引き分けです。なお「戦」の間は「戦」に関係ない人はプレイが休止になります。「戦」に勝てば1ランク出世です。負け、引き分けの場合は何も変わりません。先手は、いくさを仕掛けた方です。
※「戦」の場合は、2あがりはありません。戻りもありません。あとはふつうと同じです。
※「銀」が「いくさ」に勝てば、その時点でゴールとなり終了です。
回り将棋に途中参加したい時
3人で楽しんでいるところに「僕も仲間に入れて」と誰かがやってきたらどうしますか?将星会式「回り将棋」は、そんな場合のルールも考えています。参加者の中で、もっとも格下の駒と同じ駒を、途中参加者の「進み駒」にしてスタートするのです。これで途中参加も可能となりました。あなた式「回り将棋」のすすめ
以上、ご紹介したのは、あくまでも将星会式「回り将棋」のやり方です。どうぞ、試してみて、「ここは、こうした方がおもしろいぞ」という部分があれば、改良していってください。ああでもない、こうでもないとルールを工夫していくことにも、おもしろみがありますよ。そして、ぜひ、「あなた式回り将棋」をガイドに教えてください。今回もお読みいただき、ありがとうございました。今日も、将棋教室の休み時間には子ども達の歓声が上がっています。【関連記事】