いにしえの北京原人たちの息吹を感じられる周口店遺跡
周口店遺址公園入口の北京原人像。記念撮影の定番スポット
周口店遺址公園内の原人像。彼らがふと動き出すような感覚を覚える不思議な空間
周口店は1929年に北京原人の頭蓋骨の化石が発見されたことで知られ、その文化的価値から1987年に世界遺産に登録されています。
北京にあるほかの5つの世界遺産――
万里の長城、明十三陵、頤和園、
故宮博物院、
天壇公園と比べると、地味な印象ではありますが、あまり観光地化されておらず、自然の息吹を肌で感じられるため周口店遺跡のファンは少なくありません。ここではそんな北京原人の里についてご紹介します。50万年前へタイムスリップです!
北京原人の里・周口店遺跡とは?
周口店遺址博物館に展示される北京原人の頭蓋骨のレプリカ
周口店遺址博物館に展示されるかつての発掘風景のレプリカ
周口店遺跡は
北京西南の房山区に位置する旧石器時代の遺跡群です。スウェーデンの地質学者J.G.アンダーソン博士が周口店の龍骨山一帯に化石が埋まっているのを見つけたのは1918年。その後1921年からアンデショーン博士の指導のもと、北京大学考古学者・裴文中氏ら国内外の考古学者が共同で発掘を開始しました。多数の動物化石を発見しながら、ついに人類の臼歯の化石を発掘。この新発見の人種は「シナントロプス・ペキネンシス(北京原人)」と命名されました。これは人類の歴史数十万年繰り上げるという世界を震撼させた考古学的ニュースでした。
周口店遺址公園のメインスポット・猿人洞。72年ぶりに発掘作業が開始された
さらに1929年、北京原人のほぼ完全な頭蓋骨化石が発見されました。これによって頬骨が突き出て、鼻は横に広がり、歯も大きめ――という約50万年前に生息していた北京原人の様相があきらかになったのです。その後も発掘は続き、約3万年前に生息していた山頂洞人(上洞人)の化石、哺乳類の化石、石器、火の利用跡など貴重な考古学資産を発見。周口店は生物学、歴史学において極めて重要な場所となったのです。
しかし1937年日中戦争勃発のため発掘作業は中断。1949年中華人民共和国建国後も発掘作業は再開されなかったのですが、2009年6月24日、風化が進んだ遺跡の補修をメインとした発掘作業がスタート。72年ぶりのタイムトラベルは世界の注目を集めながら今もなお続けられています。
周口店遺跡へのアクセス
房山区の景観。移動中は北京市内では見られない自然の風景を楽しんで
公共交通機関でのアクセスは主に次の2通りです。
- 天橋バスターミナルで836路バスに乗り「周口村路口」駅まで行き、38路バスに乗り換え「猿人遺跡」駅で下車、徒歩7分
- 地下鉄房山線「蘇庄(終点)」駅下車、907路バスで「周口村路口」駅まで行き、38路バスに乗り換え「猿人遺跡」駅で下車、徒歩7分
公共機関でのアクセスは中心地から片道約3時間とかなりな長時間なので、車をチャーターするのがベストです。市内中心部から運転手付き1日チャーターで約1000元。車でも市内中心地から片道約1時間半かかります。
>>>北京での車のチャーターについては「
北京の市内交通」をどうぞ。
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