マーケティング/マーケティング事例

キラリトにヒカリエ、商業施設キラキラネーム化のなぜ(2ページ目)

2014年10月30日、銀座一丁目という好立地にオープンする「キラリト ギンザ」。早くも話題となっているが、今回はそのネーミングに注目したい。近年、商業施設で独自のカタカナネームが増加している。2012年の「ヒカリエ」や「東京ソラマチ」、2014年の「あべのハルカス」など。いわばキラキラネームともいえるこの独特のネーミングはなぜ流行しているのか。商業施設の歴史とともに解説します。

新井 庸志

執筆者:新井 庸志

マーケティングガイド

ネーミングにおいて大事なこと

基本的にネーミングを行う時に大事なことは次の2点だ。

・ 覚えやすい
・ コンセプトが伝わりやすい

覚えやすさを高めるために、ネーミングにインパクトを持たせたり、語感を良くしたりする。ただし、インパクトや語感などだけを意識し、覚えやすくするだけでは不十分だ。その施設が他の施設とは何が違うのかを伝えられることも大事なこと。現在は複合商業施設もたくさんあり、集客争いも激化している。また複合商業施設ビジネスの強豪相手は同業者だけではない。エンタテイメント施設、人気レストラン、イオンモール幕張新都心に代表されるような複合型大型スーパーも時には競合相手になる。言わば異種格闘技戦のような時代となっている。したがってネーミングの中にコンセプトが感じられることがますます重要になっているのだ。

こうした中で、現在のカタカナネーミングが流行るのには理由がある。

複合商業施設のカタカナネーミングが流行る4つの理由

1つ目は、少し短絡的かもしれないが、まだまだカタカナはオシャレと思われる傾向にあるということだ。例えば「東京ソラマチ」と「東京空街」と「東京SORAMACHI」と「東京Sky Town」を比べてみて欲しい。多くの人は「東京ソラマチ」がもっともしっくりきて、今風のオシャレな印象を持つのではないだろうか。

2つ目は、読みやすいこと。ネーミングをカタカナにすることで誰でも読みやすいというメリットがある。またカタカナネーミングには4文字が多く、言葉に出してみても単純で読みやすいというメリットがある。

3つ目は、キラキラネームが珍しくなくなったこと。複合商業施設のカタカナネーミングブームが進行する以前より、例えば、子どものキラキラネームは増えていた。読み方や意味を重視した当て字が増えたことにより、カタカナでのネーミングに抵抗感のない人が増加した。

4つ目は、グローバル化。世界で日本語が注目されていることが挙げられる。漢字はもちろん、カタカナの注目度も高い。例えば、日本を代表するファストファッションブランドであるユニクロは「UNIQLO」と「ユニクロ」の両方のロゴがある。積極的に海外での出店攻勢をかける中、ユニクロはカタカナ文字のロゴも使用している。こうしたことも、潜在的にカタカナネーミングはカッコいいというイメージを植え付けているのではないだろうか。

ネーミングとブームは表裏一体

ネーミングとは面白いものだ。
しばらくはカタカナネーミングの流行も続くだろう。しかし一度ブームが終われば、一気に時代遅れ感が出てしまう。時代の変わり目には、ネーミングと施設内店舗とコンセプトのすべてを一新する必要に迫られるだろう。そうでなければ、時代とともに消えてしまうこともありえる。その印象的なものが、2014年に閉館した青山ベルコモンズだ。カタカナネーミングの複合商業施設が今後どうなっていくのか注目だ。
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