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浦安の液状化訴訟は住民敗訴 自宅を守る方法は?(2ページ目)

東日本大震災による液状化被害を受けた千葉県浦安市の住民が売り主を訴えていた裁判で、10月8日、住民敗訴の判決が出されました。「液状化被害の発生は予見できなかった」というのが、その理由です。同じ憂き目に遭わないためにも、自宅の液状化対策は待ったなしといえます。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド


液状化現象とは、地震が発生した際に地盤が液体状になる現象 

段差の写真

地盤の沈下により発生した大きな段差

まずは、液状化とは何なのか確認しておきましょう。

液状化現象とは、地震が発生した際に地盤が液体状になる現象をいいます。地震が発生すると繰り返される振動によって地中の地下水の圧力が高くなり、その結果、平時は結びついている砂の粒子がバラバラとなって地下水に浮いたような状態になります。これが液状化です。

このような状態になると砂の粒同士の結合がなくなり、バラバラになった砂の粒は水分と分離してしまいます。そのため、水分より比重が重い建物は沈下したり傾いたりしてしまい、逆に、水分より比重が軽いマンホールなどは浮き上がってきます。埋立地のような地下水位が地表面から浅く、地表面付近がゆるい砂層で構成されている場所では液状化の可能性が高まるのです。

そこで、国土交通省はより安全な宅地供給が行なわれよう、2013年4月、震度5程度の地震における宅地の液状化被害の可能性を判定する目安として「宅地の液状化被害可能性判定にかかる技術指針」を発表しました。また、東京都も液状化による建物被害にどのように備えるかを解説した「液状化による建物被害に備えるための手引き」を作成、公表しました。液状化被害に備えるための手順(手引き)は以下の通りです。

 <液状化被害に備えるための手順> ※木造戸建て住宅の新築を想定した手順です。
  • いきなり地盤調査をするのではなく、まずは液状化予想図や過去の地形図などにより敷地の液状化の可能性を調べる。
  • 敷地に液状化の可能性があると確認されたら、次は建物に対する被害対策を検討する。
  • その際、検討に当たっては地盤や建築についての専門的な知識が必要となるため、専門家を上手に活用する。
  • 専門家の意見を参考に、必要に応じて地盤調査を行い、地盤改良などの実施で対応する。
     

もはや常識! 安全・安心なマイホームは液状化対策から 

ここからは具体的に見ていくことにしましょう。敷地の液状化の可能性を自分で調べるには、インターネットの活用が簡単で便利です。東京都の液状化判定には以下のサイトが役立ちます。

東京の液状化予測図
特定の震源による地震を想定せず、一律の揺れによって都内の地盤が揺らされたとき、どの地域が液状化しやすいかを評価できる地図です。

東京都 建物における液状化対策ポータルサイト

地形図と土地条件図(国土地理院) 
国土地理院が作成している地形図や土地条件図により、その土地の過去の状況(履歴)を知ることができます。

東京の柱状図
東京都が公共工事の際に行なったボーリング調査(地質調査)の結果を地図上に落とし込んだサイトです。計画している住宅周辺のデータを閲覧することで、地盤の状態を確認できます。

次に、敷地に液状化の可能性があると確認されたら、今度は建物に対する被害対策を検討することになります。木造住宅はマンションと比較すると建物の重量が軽く、基礎が地表面に近い位置にあるため、地盤が液状化すると傾斜や沈下の被害を受けやすくなります。

そこで、新築時に建物の基礎工事を最適な工法で施工する必要があります。支持力の増加と沈下量の低減を図るべく、建物基礎の最底面を柱状改良体や鋼管の杭(くい)などで下支えする工法を採用すると、沈下の軽減が期待できます。

ただ、どの工法が最適なのかは素人には判断できません。地盤や建築についての専門的な知識を有する専門家に相談するのが近道となります。まずは建物工事を請け負うハウスメーカーや工務店、設計事務所に判断を仰ぎ、それだけでは不十分な場合には地盤専門の会社や公的専門機関に依頼するといいでしょう。地盤調査、地盤改良と進むに従い、より高い専門性が求められます。こうして液状化に強いマイホームが出来上がります。
☆印  
首都直下地震や南海トラフ巨大地震など、その切迫性は高まるばかりです。もはや液状化対策は必須項目なのです。「対策なし」という選択肢は存在しません。安全・安心な住まいを手に入れるためにも、液状化対策の強化を怠らないでください。
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