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1パラグラフとは? スッキリした英文の書き方

読みにくい英文は「1パラグラフに1主張」の法則でスッキリさせることが出来ます。英語のパラグラフとは、単に日本語の「段落」を指すものではなく、主張文(トピックセンテンス)、その主張をサポートする理由(ボディ)、そして、結論の3つがセットになった文章のことです。

齋藤 浩史

執筆者:齋藤 浩史

ビジネス英語ライティングガイド

<目次>

1パラグラフとは……スッキリ英文を書くためのコツ

1パラグラフとは? スッキリした英文の書き方

パラグラフ構築の法則

ビジネス文書の読み手は、物語のようにエンディングに向けて何が起こるのかワクワクしながら読み進めるわけでありません。どちらかと言えば、なるべく早く内容を理解しようという姿勢で文書を読むわけです。一方で、書き手はその期待に応えようとするばかりに、1つの文章にたくさんの主張を詰め込んでしまいがち。結果、読み手を混乱させてしまうこともあるため注意が必要です。実際のビジネスシーンでは複数の主張が存在するため、読み手を意識したライティングテクニックが求められます。

それが、スッキリとした英文を書くためのテクニック 「1パラグラフに1主張」の法則です。ただし、英語の「パラグラフ」の意味は、日本語の「段落」とは異なるものなのでご注意ください。英語のパラグラフとは、明確な主張文(トピックセンテンス)があり、そしてその主張をサポートする理由(ボディ)、最後に結論の3つがセットになった文章を指したものです。「パラグラフ」には必ず1つの主張を盛り込むことが鉄則。主張がゼロであったり、2つ以上あることは、基本的に認められません。

では、具体的に「1パラグラフに1主張」の法則とはどういうものか?実際に書いてもらった文章を題材に検証していきたいと思います。
 

改善前の英文

ある英文ライティング課題を、イギリスで幼児教育に携わる日本人ビジネスウーマンに答えていただきました。

「コンピュータ利用が世間一般の常識となったが、子どもにとって良い効果より悪い効果のほうが大きい」

賛成か反対か、彼女は以下のように回答してくれました。
I agree to this opinion, the computer has given children a bad effect more than a good one. Some people say that the computer is useful and absolutely necessary device in our life. But there are two concerns. The first concern is that children sometimes do not understand reality and fake. The second is that the computer use prevents children from necessary development of sensory organs and exercise of muscles in childhood as well as development of their mental mind. Using the computer is not exercise, just sitting on the chair.
Good influence is that children can easily and quickly search for information by themselves through the internet. It can save time as they do not need to go to library to research knowledge. On the other hand, bad influence is to take up much children's time because children are interest in using and knowing things which they do not know.
They continue to look for things, and play games on the computer. They have less communication with people, get to know unnecessary information in their age. 
Therefore I agree to the subject, which the computer influences children bad more than good.

【日本語訳】
私は「コンピュータは子どもにとって良い効果より悪い効果のほうが大きい」という意見に賛成です。一部の人は、コンピュータはとても便利で我々の生活には絶対的必要な道具であると言いますが、2点考慮することがあります。一つ目が、子供というのは現実と仮想の区別がつかないということ。もう一つが、幼少時に必要な感覚器官発達や身体運動、そして精神の発達をコンピュータが阻害してしまうということです。コンピュータを使っても身体運動はなく、ただ椅子に座っているだけなのです。
コンピュータを使うことで得られる良い影響は、子供たちがインターネットを使って簡単に色々なものを自分で調べることができること。情報調査するために図書館に通う時間を節約できるのです。
その一方で悪い影響というのは、子供たちは自分たちが知らないことを知りたがるため、その調査分だけに彼らの時間が費やされてしまうというところにあります。探し物を追い続け、コンピュータでゲームする。人とのコミュニケーションは薄れてしまい、その年で知らなくてもよい情報を知っていく。
それゆえ、この「コンピュータが子供たちに良い影響より悪い影響を与える」という意見に賛成するのです。
いかがでしょうか?
彼女の主張は一貫してコンピュータには害があるというスタンスで論理を展開しています。「白か黒か?」という主張にブレはなく、根拠にも力があり非常に洞察力がある文章だとわかります。しかし、何となく読みづらい文章になっていないでしょうか?これは、複数の主張が文章内で整理されずにバラバラに展開されているからだと私は分析しました。
 

改善後の英文

先ほどご説明したことを踏まえ、私は以下のように修正してみました。
While some people say that the computer is useful and absolutely necessary device in our life, I agree to the assertion “using a computer can have more negative than positive effects on your children” from 2 aspects, child development and children’s custom(*1).
There are 2 concerns on the child development. One concern is the fact that children cannot tell the difference between the real and virtual. Hence I sense the risk that the use of computer may get children to escape from the real world, causing less mental development in children (*2). The second is the fact that children need to develop sensory organs and exercise muscles in childhood. However it is doubtful that the use of computer gives children such development and exercise.
There is one concern on the children’s custom. While the use of computer allows children to stimulate their curiosity and search for a variety of things without even going to libraries, the use of computer is so addictive that children spend too much time facing computers. By checking things in search engines and being addicted to play games, children lose direct communication time with people from my point of view.
All in all, I agree the use of computer is more negative effect on children thah the positive one.

【日本語訳】
コンピュータはとても便利で我々の生活では絶対的に必要な道具と言われますが、子供の発達と子供の習性という観点から(*1)、主張の「コンピュータを使うことは子供にとって良い効果より悪い効果が大きい」は正しいと私は思います。
まず、子供の発達に対して悪影響を与えると考える理由は2つあります。
一つ目が、子供というのは現実と仮想の区別をつけることができないという事実です。つまりコンピュータを使うことで子供たちが現実逃避をする危険性を私は感じてしまうのです。これは精神の成長に影響を及ぼします。(*2)もう一点が、子供の時には感覚器官や身体運動が必要だという事実に対して、コンピュータがそういった発達や運動を助けることはできないだろうと思うためです。 

次に子供の習性に対して悪影響を与えると考える理由は1つです。コンピュータは図書館に出向くことなく、色々なものを調べることができ、好奇心を刺激するものである一方で、コンピュータ利用は中毒性があるため、子供たちがコンピュータに向かう時間に多くを費やされてしまうことにあります。サーチエンジンで調べものをしたり、ゲームに夢中になってしまって、人との直接のコミュニケーションが失われると私からは見えるのです。
以上の理由から、「コンピュータを使うことは子供にとって良い効果より悪い効果が大きい」という主張は正しいと思うのです。
 

改善点の解説

具体的に私がどのように修正したのかを説明します。着目した修正点は以下2点でした。

*1.  2つのパラグラフにする。
理由:主張が複数存在するため、パラグラフ構築「1パラグラフに1主張」の法則から、2つのパラグラフに分けました。発達という側面と習性という側面(child development and children’s custom)の2つのパラグラフに分けることによって読み手を誘導しやすい文章構成にしてみました。

*2.  事実(客観)について述べてから、自分の考え方や個人的経験(主観)について意見を書く。
理由:日本人のライティングの悪いクセは、客観的事実と主観的な考え方を分けずに論理展開をしてしまうところです。ビジネスに関わる読み手にとっては、この2つの視点が明確に区別されていないと読み手側に書き手の意図とは違う印象を与えてしまうため、太字のようにfact(事実)からI sense(主観)という順番で展開してみました。もう一つのパラグラフでも同じ展開しています。
 

読み手にやさしい構成

いかがでしたでしょうか?煩雑になっていた文書がスッキリした印象を受けたのではないでしょうか?また、どこに何が書かれているか読み手にはっきりと示した文章になったと思います。このお題は一般的な話題ですが、ビジネス文書だともっと機械的にパラグラフ構成のフレームワークに落としこむことができます。

こんな簡単なことならすぐにできると思いがちですが、実は大半の人がこの罠にはまって文章の混乱を招いてしまっています。そのような状況を避けるためにも、明日から「1パラグラフに1主張」の法則を使うことをおススメします。

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