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北村明子『To Belong / Suwung』インタビュー!(4ページ目)

青山を舞台にしたダンスの祭典Dance New Airで、新作『To Belong / Suwung』を発表する北村明子さん。『To Belong』は2010年にスタートした長期プロジェクトであり、ダンスに映像、音楽とジャンルを越えたアーティストたちによる国際協働作品です。ここでは、北村さん、音楽監督の森永泰弘さん、ドラマトゥルクの山田咲さんにインタビュー。作品の成り立ちと創作法、今後の展開についてお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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タイトル『Suwung』の意味、由来とは?

北村>Suwungはインドネシアのアーティストから提案されたジャワ語で、日本語にすると空(くう)と訳せるようです。Suwungという言葉をもとにした古い詩があって、見えないもの、見ていないものを感じる、記憶の大切さ、感覚の大切さがジャワ独特の思想によって歌われている。

彼が言うには、“その場所には不在だが、ほのかにその存在を感じる”という感覚で、これはジャワ人にとってすごく大切な言葉であり、『To Belong』に非常に関わりがあるはずだと。あのときは“僕はこの詩に感動しちゃってもう何も言えない”なんて、ひとりで勝手に盛り上がってましたね(笑)。きっとそれは、この作品にコミットする上で彼が自分の核となるものを見つけた瞬間だったんだと思います。

彼には身体の動きに対してより具体的に色味をのせていくような、絵の具を塗っていく作業、私が整理できない内容だとか、テーマにしたいことを具現化していく役割を担ってもらっていて。テーマというのは、見えないもの、いにしえの方々、あるいは故人や歴史との対話をしていく中で、ダンスで何ができるかということ。昔を感じる、今現在離れているひとを感じる、空に残る余韻を感じる、それは自分との対話でもあったりする。彼の中で、そこにぴたりと合うものをこの言葉に感じたんでしょうね。

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(C)Kuang Jingkai


Suwungというテーマに対し、
森永さんは音楽的側面からどうアプローチを?

森永>音楽的には、“気配”というものが大きいのかなと思っています。プロジェクトメンバーにエンダ・ララスというインドネシア人ミュージシャンがいて、Suwungという言葉自体は彼女を通してもともと聞いていました。北村さんが教えている信州大学の授業で以前コンサートをやり、そのときエンダ・ララスがSuwungについて熱唱していたんです。

こういう仕事をしていると、そうやって見えないものがどこかでつながってくることがある。音で何ができるのか考えていくと、気配というか、ある意味幽霊的なものだったりするのかなと考えているところです。

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(C) TOKIKO FURUTA



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