仕事に追われ、部下との時間とれなくなっていませんか?
コミュニケーションは質より量!?
「上司が部下と時間をとること」と「組織活性度の関係」に関する興味深い調査結果(2013 コーチング研究所調べ)があります。「上司の部下への関わり方」と「組織の活性度」を調べたところ、モチベーション、主体性、率直な意見交換、他組織との協力、変化対応力などの組織活性度を測る全項目について、「コミュニケーションスキルが高く、かつ部下とのコミュニケーションの量が多い上司」の組織がどのグループよりも高く、反対に、「コミュニケーションスキルが低く、かつ部下とのコミュニケーション量が少ない上司」の組織が最も低いことがわかりました。
しかし、この結果は予想の範囲内です。興味深いのは、その間にある、
「コミュニケーションスキルが高く、コミュニケーション量が少ない上司」
「コミュニケーションスキルが低く、コミュニケーション量が多い上司」
の2つの組織なのですが、実はこの2つ、「組織活性度」ではあまり差が出ませんでした。
このことから、
「高いコミュニケ—ションスキルを持っていたとしても、量が少なければ組織活性度は高まらない」
「コミュニケーションスキルが低くても、量を増やせば、組織活性度を高めることができる可能性がある」
と言えそうです。
一般に、コミュニケーションというと「スキル(何をするのか、どうするのか)」に注目しがちですが、少なくとも組織活性度に対しては、コミュニケーションの「量」が大きく影響するようです。
では、単に量を増やせばいいのか?
さらにこの調査によれば、「部下と週に10分以上まとまって話す時間を設けている」上司とそうではない上司の組織活性度を比較しても、大きな差がないことがわかりました。逆に、「"部下のために"話す時間をとっている」上司とそれ以外の上司の組織活性度の比較をすると、すべての項目において、「"部下のために"話す時間をとっている」上司の組織活性度が高いことがわかりました。
つまり、ただ単に話す時間を設けるだけでは組織の活性化にはつながらず、部下が「自分のために時間をとってくれている」と感じるような時間のとり方をすれば、組織は活性化すると言えそうです。
では、具体的に、上司のどのような行動が「自分のために時間をとってくれている」と部下に感じさせるのでしょうか?
この調査では、上司の行動53項目のうち、相関の高い7つの行動があると分析しています。それでは、実践するためのヒントとともに、その上位7つの行動を紹介していきましょう!
第7位 自分の考えを伝えるだけでなく、部下の考えも尋ねている
普段の業務指示や面談においては、部下に求めることや実際の数字・業績など、上司側から伝えたい情報がたくさんあります。それゆえに、上司側の意見や考えを伝えて終わり、になりがちです。しかし、人は話すことによって、自分を再確認したり、新しい発見をしたりします。そして、そのプロセスを通して、モチベーションや主体性が高まるのです。そのためには、上司は質問上手になることです。たとえば、次のような関わりにより、部下はより主体的に会話に参加することができるでしょう。
部下の考えを尋ねる場面を増やす
例「今日の面談で、君はどんなことを扱いたい?」
上司側の考えを伝えたあと、それについてどう思うかも合わせて聞く
例「・・・と思うんだけど、君の意見も聞かせてくれる?」
面談や会議などでは、相手に事前にアジェンダなどを共有し、話すための準備をさせる
例「次の会議では、新しい商品のブレストをするから、ちょっと考えておいてくれるかな?」
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