光をより意識させる「可視化」もポイント
直接光を建物内部に取り込むことも大切ですが、実は「光を可視化する」ということも大切です。たとえば、光が当たっている部分と影になる部分ができることで、人はより明るさを感じる傾向があります。そこで、明るい部分と影の部分をはっきりと作り出し、室内に差し込む光への意識を高める手法をとるようにしています。また、壁に当たって反射する光も、より明るいと感じるものです。間接照明をイメージしていただくとわかりやすいと思いますが、壁に照明を設置して壁面を明るくすると、実際の照度以上に明るさを感じたりします。これと同じように、光を壁に反射させることで、直接光を目にしなくても、光のあたる壁を見て明るさを感じることができ、印象的な空間を作り出すことができるのです。
夏と冬の光を調節する「庇」
もうひとつ、光と密接に関係するのは「庇」です。夏場は太陽の高度が高いため、庇が暑い日差しを遮り、直射光を適度に取り込むことができます。冬場は太陽の高度が低くなるため、ある程度庇が深くても、あたたかい日差しを室内に導くことができます。
また、西日の当たる面にある開口部に庇を設置することで、強い光を遮ることができます。庇の奥行きは1メートル程度がよいでしょう。雨も遮ることができるので、小雨程度なら窓を開けていられるなど、いろいろと便利なことがあります。奥行きを1メートル80センチ程度とさらに長くすると、日差しを遮るだけでなく、室内と屋外に一体感が生まれます。吹き込むほどの強い雨でなければ、窓を開け放して雨の風情を楽しむこともできるでしょう。
「風・緑」を上手に取り込む3階建て住宅設計ノウハウ