3階建ては2階建てより地震の影響を受けやすい
住宅の主な構造躯体としては、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造(RC造)の3つが挙げられます。どの構造・工法にもそれぞれの特性があり、価格、工期、耐火性、品質精度などにおいて違いがあります。例えば、価格(建築費)が安い、工期が短い、耐火性に優れている、施工精度など品質が高いといったようなことです。さらに、地震により被害が発生した際の被害の規模や、それに対する補修のしやすさも、構造躯体によって差があります。
みなさんも、自分の家を建てるときはこれらを総合的に判断し、条件や価値観などによって、自分の家にふさわしい構造躯体を選ばれていらっしゃると思います。
都市の住宅なら、耐震性のほか、耐火性能も気になるポイントです
しかし、3階建て住宅は2階建て住宅に比べて、より高い構造性能が求められます。それを裏付けるわかりやすい例として、「構造計算」が挙げられるでしょう。木造など2階建て住宅の多くは構造計算が不要ですが、3階建て住宅の場合はどんな構造・工法を選んだとしても、構造計算が必要になります。2階建てより建物が高くなり、地震の揺れの影響を受けやすい3階建て住宅は、構造についてより重視して考えるべきだといえます。
東日本大震災によって変化した考え方
建物の構造と聞いてまず思い浮かべるのが、耐震性能です。阪神・淡路大震災や東日本大震災など、大きな地震により被災するたびに、住宅の耐震性能は強化されてきました。しかし、強化といってもただ単純に「強固」にされてきたのではありません。そのターニングポイントは、東日本大震災でした。将来も大地震が発生する可能性は高いと予測されています
海溝型と呼ばれる地震であった東日本大震災は、直下型地震の阪神・淡路大震災と比べて、大きな余震が頻繁に起こりました。実際、マグニチュード4.5以上の余震が13回(*1)だった阪神・淡路大震災に対して、東日本大震災では、マグニチュード5.0以上の余震が530回(*2)も起こったのです。
このことは、耐震性能に対する考え方を大きく変えました。最初の大きな地震に耐えられることも重要ではあるけれども、その後に何度も発生する一定以上の大きさの余震に耐えられる性能がないと、住む人の財産や生活が守れない…という考え方に変化していったのです。
*1 期間:1月17日(本震)~9月30日 出典:気象庁「第119号 平成7年[1995年]兵庫県南部地震調査会報告」
*2 期間:3月11日~5月10日 出典:気象庁「平成23年3月地震・火山月報(防災編)」
大地震だけでなく、余震に耐え、住み続けられる家に
そもそも、建築基準法で定められている耐震性能は、人の命を守る基準です。つまり、最初の大地震が起きた時にその建物が倒壊しないための性能であり、その後度々の余震に見舞われることは想定されていません。しかしながら、現在のハウスメーカーの地震に対する住宅性能の考え方は、地震で倒壊しないことはもちろん、その後の余震にも耐えられ、住む人の生命や財産を守り、きちんと住み続けられることをメインに考えられるようになっています。
次ページでは、ヘーベルハウスが3階建て住宅に採用した新しい技術について、説明していきましょう。