エラ・フィッツジェラルド(vo) エリス・ラーキンス(p)「ピュア・エラ(ガーシュイン・ソングス)」より「スーン」

 

Pure Ella

Pure Ella

この曲は、アメリカを代表する作詞作曲コンビ、アイラとジョージのガーシュウィン兄弟の曲です。高名な二人の曲の割には、あまり有名ではない曲ですが、美しいテーマを持った佳曲です。

エリス・ラーキンスのピアノはここでは、控えめな伴奏に徹しています。しっとりとした歌いだしのエラをやさしく包み込むようにオブリガートを入れて、良い雰囲気です。

このアルバム全体を通してのエラは、いつもの元気いっぱいなスキャットなどは控え、一語一語をかみしめるように丁寧に歌っています。そこを、物足りないとみるか、おしとやかで良いとみるかは、好みの分かれるところ。この曲では、途中ミディアムテンポに転じて、メリハリをつけて楽しませてくれます。

伴奏のエリスも軽快なテンポに切り替わるところが見事。エラはピタリと寄り添い、しっとりと歌い切ります。名人二人にかかれば、歌い手を選ぶこの難曲も難なく名演に変わってしまいます。

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スタン・ゲッツ(ts) ケニー・バロン(p)「ピープル・タイム」より「ジ・エンド・オブ・ラヴ・アフェア」

 

People Time

People Time

この「ジ・エンド・オブ・ラヴ・アフェア」は、邦題が「情事の終わり」。何とも切ない、大人を感じさせる曲名です。歌の内容はその通りの大人のあくまでもおしゃれな恋の終わりを歌うものです。

そんな都会的な歌にスタン・ゲッツほどハマるサックス奏者はいないと言ってよいでしょう。ここでのスタンは期待通り、まるで粋なシンガーのように恋の終わりを歌いあげます。

まず初めに驚くのが、そのスタンのサックスの音のピュアさと美しさ。スタンの声ともいえるサックスの音は、ますます高音が冴え、美しさで圧倒されます。それとともに、マイクが捉えたスタンのブレス(息継ぎ)がとてもセクシー。 

「ジャズは結局ナイトミュージックなのさ」と言ったとされるスタンの面目躍如といったところです。そして実はこの演奏が、長年にわたって病と闘い続け、この三か月後にはついに召されてしまうスタンの白鳥の歌ともいえる演奏だという事実。

その真実には、再度驚かされ、また心の底からの感動をおぼえます。

白鳥が病をおしながら大空へと羽ばたく姿。ここでのスタンの雄姿は、そんな情景を思い起こさせます。マイクに入ったブレスの音は、そのままスタンと病との戦いの証でもあったわけです。

スタンは、1950年から69年までの20年間で、15回もジャズ専門誌「ダウンビート」の人気投票でテナーサックス部門第一位に輝いた大スターです。

そのクールなサウンドと、狷介な性格、ハンサムなルックスまでもが、人間味あふれるスターたる条件を備えた巨人です。そして、スタンほど、聴衆のことを考え、聴衆の聴きたいものを提供してくれたプレイヤーはいません。

その上、人生の最後の最後まで、スターとして、ジャズサックスプレイヤーとしてその矜持を全うした稀有の存在です。

このアルバム「ピープル・タイム」での、ピアノの名人「ケニー・バロン」との珠玉のデュオは、ジャズの神様に祝福された一握りの天才によってしかなしえない、まさに奇跡として記憶されるべき名演と言えます。

今回の二人だけの世界、深遠なるデュオ(二人)ジャズは、いかがでしたか? 素晴らしい才能と研鑽が垣間見えるジャズの高度な演奏の世界。

聴くほどにさらにあなたも深遠な世界へと誘われることでしょう。それでは、また次回お会いしましょう!

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