マンション購入術/マンション購入関連情報

二人に一人が希望の「終の棲家は自宅」、本当に可能?(4ページ目)

あなたは、最期をどこで迎えたいか考えたことはありますか?男女を対象にした調査では、二人に一人が、終の棲家は一番落ち着ける自宅がいいと思っていることがわかりました。では、最期を自宅で迎えることが現実に可能か、考えてみましょう。

大久保 恭子

執筆者:大久保 恭子

これからの家族と住まいガイド

要介護4~5の介護には生活費が月90万円かかる?

ふたつめの疑問、経済面はどうでしょうか?

介護の専門家に聞くと、要介護3までは、自宅での介護でも費用はなんとか、まかなえるとのことですが、要介護4~5になってくると、夜間の見守りやおむつ替えが必要になってきます。朝・昼・晩と食事の介助だけでも介護保険の点数を使い果たしてしまい、入浴や看護、身の周りの介助、夜間の排泄介助は自費で上乗せになってしまいます。不足分を保険外サービスで補うと月々の生活費が90万円くらいになってしまうそうです。

3年以上にもおよぶ、寝たきりのパートナーの介護を自宅でしようとすれば、総額3,240万円もの費用がかかってしまうことになります。普通の家庭には、到底無理な金額です。現実的には、自宅介護は要介護4~5になると一般的には成り立ちにくい、ということになります。

一方、平均的な有料老人ホームは、300~500万円の入居一時金を払い、月々は20万~30万円前後というものがあります。入居一時金のいらない賃貸方式から一時金数千万円という高級老人ホームまで、ここ数年で選択肢が広がっています。さらに、最近ではサービス付き高齢者向け賃貸住宅が登場しています。


75歳以降は自宅で暮らせなくなる現実が

こうして見てくると、もともとは住み替えなくても自宅で生活できるように、というのが介護保険の目的でしたが、現実には終の棲家とするにはお金もかかるし、パートナーの心身の負担も大きいことがわかります。

したがって、夫婦が要介護2~3までは、何とか支えあって自宅で暮らすことができるけれど、要介護4~5になれば、パートナーの心身的負担、経済的負担を回避するために、いずれかの高齢者向け施設に入所するという選択肢をとらざるを得ないというのが、今のところの現実といえるのではないでしょうか。

それはいつ?という疑問も生じます。

個々の身体状況は年齢だけで測れるものではありませんが、認知症や寝たきりの年齢別割合などを参考にすると、75歳以降は夫婦のいずれかが自宅では暮らせなくなる可能性もあるかもしれません。

50代以降の大人の方々については、そのときは、どうするかといった視点で、将来の自宅の最後の住み替え計画をイメージしておく必要があるように思います。

また、これから初めてマンションを買う、という30、40代の方々にとっては、「終の棲家」は遠いことのように思われるかもしれませんが、最後まで自宅にいられない現実から逆算して、マイホームの最初の一歩をどこから踏み出すべきかを、考えてみるのも、将来後悔しない家選びには必要なことかもしれません。

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