紅花の生産が盛んな山形県。映画『思い出ぽろぽろ』での、山形の紅花畑が印象に残っている人も多いかと思いますが、紅花は山形の県花でもあり、江戸時代は日本一の紅花産地として栄えました。そんな紅花の里・山形県の白鷹町で栽培に取り組む山形県紅花生産組合連合会副会長の今野正明さんをお訪ねしました。
紅花が咲き誇る山形県白鷹町
山形の紅花は江戸時代、その質、量ともに日本一を誇り、「最上紅花」として全国に知られていました。最上紅花は京都へと運ばれ、口紅や色艶やかな衣装の染料として使われ、金よりも高いとされるほど高級品だったのだそうです。けれど明治に入り、化学染料の普及で、紅花の栽培は衰退し、ほとんど県内で見られない状況になってしまいます。けれど皇室からは式年遷宮の際、調度品の染め変えのために必ず用命があるほど「なければならない存在」。美しい赤は紅花でなければ醸し出せないのです。山形の歴史にも深く関わる紅花を復活させようという取り組みがはじまり、再び、次第に県内各地で栽培されるようになったのだそうです。
白鷹町は、かつて山形県内において紅花の主生産地でした。この町でも、今野さ
今野正明さん。紅花の歴史や文化にも精通していらっしゃいます。
■幻想的な「半夏ひとつ咲き」
紅花は毎年、7月ごろに開花します。その咲き方は「半夏ひとつ咲き」と言われています。「夏至から11日目、半夏生の日にまだ緑の畑に1輪だけ咲き、それを合図に翌日から一斉に花が咲くんですよ」(今野さん)。とても謎めいて、幻想的ですよね。
紅花。アザミに似た黄色い可憐な花が咲く。
ひとつの花が咲いている期間は、4、5日。朝霧のあるときのほうが、花びらが積みやすいので、この時期は毎日朝4時頃からの紅花摘みが続きます。紅花摘みを体験させていただきましたが、これがなかなか難しい! ガクからうまく花びらがはずれない……。
収穫が終わると、乾燥させて染料用のものは、水洗いをして寝かせて発酵させて
発酵させた紅花。鮮やかな紅色が美しい。
紅花は炊き込みごはんにしても
梅酒に使っても美味しい!
今野さんは、染料以外にも食用として、摘み取った花びらをそのまま乾燥させた
今野さんは食用の紅花も販売しています。
「抗酸化作用はじめ健康によい」と医学的にもデータがある紅花。今野さんも健康
今野さんお手製の梅酒。紅花で梅酒がワンランクアップします!
また、食べるだけでなく、お風呂に入れて「紅花風呂」にしても、とても温まるとのことですよ。
次のページでは「紅花グルメ」を紹介します。