マーケティング/マーケティング事例

放送業界が変わる!録画再生率導入とテレビ広告の今後

視聴率を調査しているビデオ・リサーチ社は、2015年より従来の視聴率に加え、録画された番組を視聴したものをはかる録画再生率調査のサービスを開始すると発表しました。視聴率という言葉は視聴者の私たちにとっても聞き慣れた言葉ですが、そこに録画視聴が加わって何が変わるのか、解説します。

新井 庸志

執筆者:新井 庸志

マーケティングガイド

録画再生率導入で何が変わるのか?

録画再生率導入で何が変わるのか?

視聴率調査を手がけるビデオリサーチ社が、タイムシフト視聴率(録画再生率)のサービスを2015年1月から開始すると発表した。その前段階として3月31日から3ヶ月間のデータを発表した。

TBS「ルーズヴェルト・ゲーム」の7.7%を筆頭にドラマが上位を占めた。また「ワンピース」「ドラゴンボール改」などアニメ番組も再生率TOP50にランクインした。バラエティでTOP50にランクしたのは「笑っていいとも!」の最終回や特番などを含めても10番組にとどまった。ドラマやアニメなどシリーズものは録画してでも見たいが、バラエティはあえて録画してまで見たいとは思わないという視聴者の傾向が浮かび上がってくる。

存在価値が低下するテレビCM

誰しもテレビの情報番組で視聴率ランキングを見たことはあるだろう。それを見て、どんな番組が人気なのかとか、人気があるようだから次からは見てみようと感じたこともあるだろう。このように視聴率は視聴者にとっても参考になるが、本質的にはテレビ局と広告主のためにあるものだ。なぜなら年間1兆8000億円にも及ぶテレビ広告市場において、視聴率はもっとも重要なデータだからだ。広告主はこれをもとに、パーコスト(視聴率1%あたりの単価)でテレビ局からCM枠を購入している。

ところが、ここ10年くらいで視聴者のCMへの注目度は低くなった。かつては、テレビ番組でも「人気CMフェスティバル」のように2時間特番が組まれるほど、CMは人気があった。しかし、視聴者のCMへの注目度が低くなるにつれ、日本のCMが特集される番組はなくなった。CMの特集といえば、海外の人気CMやおもしろCMばかりになった。

CMへの注目度の低さは別の形でも確認できる。テレビ番組作りの中ですら、CMがないがしろにされるようになっている。特にバラエティ番組では、盛り上がりのピークを迎える直前でCMをはさみ、CM明けでは番組の続きから始めるのではなく、少し尺を戻してスタートすることが多くなった。つまり、CMの間にトイレなどで席を外して多少遅れたとしても大丈夫という状況にしているということだ。

次のページでは、録画再生率は何のため、誰のためにあるのかについて探っていきます!

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