エッセルスーパー祭

エッセルスーパー祭

2014年7月19日(土)・20日(日)、株式会社明治がアイスクリーム「エッセルスーパーカップ」を渋谷で10万人に無償提供するキャンペーン「明治エッセルスーパー祭」を行った。私も実際に現場に赴きスーパーカップを頂いて、バーチャルデートなどのイベントにも参加してみた。イベント会場であるパルコのまわりには、スーパーカップを食べるカップル、友達、親子などが多く見受けられた。人々は口々に「おいしいね」と言っていた。

アイスなど飲食品や日用雑貨は、ある特定の消費者が購入するようなものではなく、誰もが、いつでも、どこでも購入するようなものだ。昨今、消費者の趣味嗜好も多様化する中、あえて「渋谷、10万人、2日間」という条件に限定したキャンペーンを実施する意味はどこにあるのだろうか。

高まる「体験」の重要性

本キャンペーン実施の一つ目のポイントは「体験」だ。

世の中にあふれる情報量は加速度的に増加している。しかし人間が見たり、聞いたり、感じたりできる情報量には限界がある。このような状況において、消費者は溢れる情報の多くを無視するようになり、自分が気になる情報だけを入手するようになった。CMなどの広告が無視されるようになったのも、この一連の流れが一因だ。

情報が多くなっているということは良いことばかりではない。情報を受ける側からすれば、何が良い情報かということもわかりづらくなっているということだ。自分にとって有用な情報を得るために、人々は信頼出来る友人や知人の情報を参考にすることが多くなった。つまり「口コミ」の重要性が増加したのだ。

「口コミ」とともに重要性が増したのが「体験」だ。自分で体験したことならば、情報の信頼度には間違いがない。したがって「体験」の重要性も増加しているのだ。

マスメディアを始めとする従来の広告が無視され、「口コミ」や「体験」が重視される時代になったことで、企業のマーケティング手法も変わりつつある。企業は商品やサービスの「体験」機会をマーケティングプロモーションに組み込むことが多くなった。例えば、通販であれば「無料おためしセット」や「初回限定での格安金額提供」などをもうけ「体験」へのハードルを低くしている。またAV機器をはじめとした電器製品などは「店頭での体験機会」の拡大に力を入れている。

「体験」が効果を発揮するかどうかの分岐点

企業が設けた「体験」機会が効果を発揮できるかどうかには、いくつかのポイントがある。消費者の購買行動において「体験」の重要性は高まっているが、その効果がいつも大きいものとは限らないのだ。消費者がもともと、その商品やサービスを体験して記憶にあるもの、つまりいつも体験しているものならば、あえて新たに体験させる意味はない。大きな効果が発揮できるのは”まだ未体験のもの”もしくは”過去に体験したことはあるが、その印象を忘れているもの”だ。この場合には「体験」価値は高くなり、効果は大きくなる。

エッセルスーパーカップはロングセラー商品ではある。しかし激化するアイスクリーム業界の中で、その存在感は徐々に薄れている。現在のスーパーカップの現状は「以前食べたことはあるが、最近食べていない」という消費者が増えてきた状況であることが推測できる。したがって、あらためて体験の機会を作ろうとしたのだ。

ソーシャルメディアにおける「情報のエッジ」の重要性

本キャンペーン実施の二つ目のポイントは「ソーシャルメディア」だ。

情報がブームになり、トレンドになるきっかけ作りにソーシャルメディアは欠かすことができない。ソーシャルメディアで話題になるには「面白い」、「嬉しい」など発信したくなる情報なのだ。”発信したくなる情報”=”人に知らせたくなる情報”はありきたりな情報ではなくできるだけエッジの立ったものだ。

エッセルスーパーカップのキャンペーンは、10万人無料という今までなかった規模の展開だ。この大判振る舞いの「規模感」、「面白さ」は、ソーシャルメディアで発信したくなるレベルだ。