パートタイム労働者の納得性を高めるための措置
1.パートタイム労働者を雇い入れたときの事業主による説明義務の新設パート労働者への説明義務、及び相談窓口を明示することが必要です
(雇入れ時の説明内容の具体例)
○賃金制度はどうなっているか?
○どのような教育訓練や福利厚生施設の利用の機会があるか?
○どのような正社員転換推進措置があるか? など
(説明を求められたときの説明内容の具体例)
○どの要素をどう勘案して賃金を決定したか?
○どの教育訓練や福利厚生施設がなぜ使えるか?(または、なぜ使えないか)
○正社員への転換推進措置の決定に当たりなにを考慮したか? など
これらは労働者側の立場で考えてみると理解できますね。いずれも労働者が知りたい労働条件に関わる重要項目。明確に説明し納得性を高めましょう。
2.説明を求めたことによる不利益取り扱いの禁止
パートタイム労働者が、前記の説明を求めたことを理由に、不利益な取り扱いをすることは禁止されます。不利益な取り扱いを恐れてパートタイム労働者が説明を求めることができないことがないようにすることが求められます。
3.パートタイム労働者からの相談に対応するための事業主による体制整備の義務の新設
事業主は、パートタイム労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならないこととなります。
(具体例)
○相談対応者を決め相談に対応させる
○事業主自身が相談担当者となり相談対応を行う など
4.相談窓口の周知
パートタイム労働者を雇入れたときに、事業主が文書の交付などにより明示しなければならない事項に「相談窓口」(相談担当者の氏名、相談担当の役職、相談担当部署等)が追加されます。
(文書などによる明示事項)
(1)労働基準法で義務付けられている項目
契約期間、仕事の場所、内容等
(2)パートタイム労働法で義務付けられている項目
昇給、賞与、退職手当の有無、相談窓口(←追加)
5.親族の葬儀等のために勤務しなかったことを理由とする解雇等について
パートタイム労働者が親族の葬儀等のために勤務しなかったことを理由に、解雇等が行われることは適当でないと、パートタイム労働指針で明記されます。
パートタイム労働法の実効性を高めるための規定の新設
1.厚生労働大臣の勧告に従わない公表制度の新設違反した事業主に対して勧告しても事業主が従わない場合、事業主名を公表できることになります。
2.虚偽の報告等をした事業主に対する過料の新設
無報告や虚偽報告の場合、20万円以下の過料に処されます。
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<参考記事>
パート・バイトなど有期労働契約の新ルールの留意点
有期労働契約の雇止めの留意点
<参考資料>
パート労働ポータルサイト(厚生労働省)
パートタイム労働者の均等・均衡待遇指標(パート指標)