有期労働契約の新しい民事ルールを確認しておこう

有期労働契約の新しい民事ルールを確認しておこう

我が国における労働条件は「労働基準法」によって最低基準が定められていることはよく知られているところですね。企業は、その最低基準を下回らないように、就業規則などを作成し従業員に周知し労使関係を築いてきたわけです。

そうした状況下、こと従業員の就業形態に目を向けてみると、正規従業員以外に、パート・アルバイトなどを含めた有期労働契約従業員が混在した事業所が本当に多くなりました。

混在事業所では、就業規則もそれぞれの就業形態ごとに作成・周知しておかないとトラブルに巻き込まれやすくなることは容易にわかりますね。実務上、就業形態ごとの規則を作成・周知していくことでトラブル回避を図ることについては、以前の私の記事「初めてでもわかる就業規則の基本」でも解説させていただいたところです。

労働契約の民事的ルールは「労働契約法」によります!

上記により別規程でトラブル回避を図ることが第一。ここで興味深いお話を。実は労働基準法は、企業側を取り締まる「取締法の役割」を担っていますが、個々の従業員ごとの個別の労働契約についての民事的なルールではありません。

民事ルールがない中で、就業形態はますます多様化。労働条件は個別に決定・変更されるようになり、個別労働紛争が増えてきました。こうした状況下で、民事ルールを定めた法令「労働契約法」が制定され平成20年3月1日から施行されたのです。

この法令は、個別労働契約を結ぶ際の根拠法令です。労働者と使用者が合意することで労働契約が成立、と明確に規定されました。また労働条件は、できる限り書面で確認することなどが規定されています。

有期労働契約などでは、契約が更新されるのかどうか、またどういう場合に更新されるなど、契約更新についてのトラブルが非常に多いので、書面での確認がポイントになります。トラブル回避のポイントは、私の以前の記事「有期労働契約の雇止めの留意点」で確認ください。


有期労働契約の新しいルール(労働契約法改正)ってなに?

法令が施行されてから数年が経過しましたが、依然として有期雇用契約従業員の「雇い止め」に伴うトラブルが多く発生しています。皆様の企業では、有期契約を更新していて正規従業員となんら実態上変わらない状況になっている従業員はいませんか。

厚生労働省からの資料によると、有期労働契約従業員の約3割は、通算5年を超えて反復継続している実態がある、と公表されています。

■有期労働契約終了時のトラブル回避のルールが明らかに(法改正)
特に「雇い止め」のトラブルは、企業の方針と従業員側の合意がそもそもできていなかったことの裏返しです。今般、これに対応すべく有期労働契約終了時のトラブル回避の民事的ルールが「労働契約法の一部を改正する法律」により、平成24年8月10日に公布されました。

改正法では、以下の3つのルールが明確化されました。いずれも企業実務上必ず押さえるべき内容です。今回の記事で内容を理解し、有期労働契約者に対する対応の万全を期していきましょう。

1. 無期労働契約への転換
有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールです。

2. 「雇止め法理」の法定化
最高裁判例で確立した「雇止め法理」が、そのままの内容で法律に規定されました。一定の場合は、使用者による雇止めが認められないことになるルールです。

3. 不合理な労働条件の禁止

有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するルールです。

施行期日は次のとおりです。

上記2:平成24年8月10日(公布日から施行)
上記1と3:公布日から起算して1年を超えない範囲内で政令で定める日です。今回の記事の段階ではまだ判明していません。

次のページでは、3つのルールの具体的事業実務について解説しています。