高額なワールドカップにスポンサーが飛びつく理由3
<重要性が増す世界的イベント>

日本ではテレビの視聴率が低下していく中、世界的なスポーツイベントの注目率は上がっている。それは必ずしも自宅のテレビ前での観戦ではなく、パブリックビューイングといった”みんなで盛り上がる”というスタイルの増加にも現れている。これはリアルの世界だけでなく、ソーシャルメディアの世界にも言えることだ。2011年、なでしこジャパンがワールドカップで優勝した時のTwitter数(瞬間最大)は世界最高の数字となったことはその証明だ。

多くの人の気持ちが一つになれるようなイベントであればあるほど、生でイベントを見ている人だけでなく、パブリックビューイングなど外出先でみんなで見ている人、テレビの前に座っている人、すべての人が自分の気持ちを伝えようとソーシャルメディアで発信する。そして、その気持ちを多くの人と共有することにも喜びを覚えているのだ。

ソーシャルメディアの存在は、世界的イベントの盛り上がりを高めるものだ。その筆頭格がワールドカップなのだ。広告でいかに広く、伝えようと消費者に企業のメッセージは届きにくくなった。イベントを通じて消費者と共感することによって、企業のメッセージは消費者に届くのだ。

ちなみに、アメリカのスーパーボウルのハーフタイムに流れるCMは1本あたり約4億円程度と世界最高額だ。スポンサーは約4億円の放映費用の他、スーパーボウル専用に力をかけてCMを製作する。だからこそ、毎年多くの観客が試合だけでなく、CMも楽しみにしている。そのスーパーボウルで、2010年に広告業界ではちょっとしたニュースになった出来事があった。スーパーボウルCMの常連だったペプシがスポンサーから撤退したのだ。従来の広告効果が薄くなっていく中で、ペプシは広告を従来のものからソーシャルにシフトすると決断したのだ。

しかし翌年、ペプシはスーパーボウルに復帰した。ここで、ペプシが学んだのはスーパーボウルというビッグイベントがあってこそのソーシャルメディアだったということだろう。世界を代表する広告主も、世界的なイベントの重要性をあらためて感じたのだ。スーパーボウルはアメリカだけのビッグイベントだ。グローバルの視点に立てば、ワールドカップはスーパーボウルとは比にならないビッグイベントだ。スポンサーがワールドカップを重要視するのは明らかなことだ。

最後に

販売という視点で見れば、グローバル化する市場に広く対応出来るというメリットがある。広告という視点で見れば、今もっとも広告効果が得られるというメリットがある。企業にとってワールドカップは大金を払っても惜しくないイベントなのだ。これはわれわれ視聴者にとっても悪いことではない。なぜなら、大金をかけてスポンサーになった企業も、一生懸命にワールドカップを盛り上げようとするからだ。

先日「さよなら国立競技場」というTBSの特別番組の中で、香川真司の人生にフォーカスを当てた「応援する者」という限定CMがオンエアされた。キリンの企業CMだ。ご覧頂くとわかるように、最後は香川真司の日本代表のユニフォーム姿で終わる。このCMがオンエアされるやいなや、ソーシャルメディアで一気に話題となり、キリンのイメージもさらに上昇した。ネット上では、海外ではNIKEのCMが凄いが、日本ではキリンと高く評価されているコメントも多く見られた。キリンがスポンサーとして盛り上げようとしているからこそ、私たちもワールドカップに向けて、さらに気持ちを高めさせてもらうことが出来ている例の一つだ。

企業は広告の費用対効果には年々シビアになっている。その状況にも関わらず、ワールドカップの高額スポンサーフィーを払う企業は、払うだけの正当な理由をしっかりと見いだしているのだ。


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