日本の文化「金魚」を展示している水族館はほとんどない
金魚を常設展示している「アクアマリンふくしま」の全景
金魚は当初、特権階級や富豪層の専有物でした。しかし、江戸時代になると庶民まで愛玩動物としての金魚が浸透し、以降現在に至るまで日本人の生活に溶け込み、和金や琉金は縁日の金魚すくいや水槽飼育などでお馴染みとなり、日本の文化の一部となっています。「日本の夏の風物詩は?」と聞かれて「金魚」をあげる人は数多いことでしょう。
それにもかかわらず、残念なことに和金と琉金、出目金以外の多様な金魚の品種の存在を、多くの日本人はまだ知りません。和金、琉金、出目金だけが金魚だと思っている人が大多数ではないでしょうか。
水族館の存在意義の中の一つに「多様な水生生物を展示、紹介する場」ということが挙げられますが、残念なことに、日本の多くの水族館は「日本文化の一部である金魚の展示・紹介」を行っていません。
珍しい様々な金魚が展示されている「アクアマリンふくしま」
様々な金魚が常設展示されている「アクアマリンふくしま」の金魚コーナー
そんな状況の中、全国でも数少ない金魚を展示している水族館として、福島県いわき市にある次世代水族館「アクアマリンふくしま」があります。ここでは『生きた芸術~金魚~』と題して多くの珍しい金魚の常設展示を行っているのです。
「アクアマリンふくしま」の金魚コーナーには、和金や琉金、オランダ獅子頭などの定番の品種から、津軽錦、庄内金魚、ジャンボ獅子頭といった一般にはあまり目にする機会のない希少品種まで、様々な種類の立派な個体が展示されています。
工夫が凝らされた大型水槽
また、ただ金魚を通常の水槽に展示するのではなく、見せ方も工夫されていており、美しくデザインされた直径2mの円形水槽、透明円柱水槽、小型丸鉢水槽の3つのタイプの水槽により、上から、横からと、それぞれの金魚の美しさを最大限に引き出す方法で鑑賞できるようになっています。
ここでしか見られないオリジナル品種「桜ブリストル」
円筒状の金魚水槽
さらに、アクアマリンふくしまで作られた新しいオリジナル品種「桜ブリストル」も展示されています。固定化している最中とのことなので、一般の市場に出回ることはなく、「アクアマリンふくしま」でしか見ることができない大変希少な金魚だと言えるでしょう。
「アクアマリンふくしま」は先の東日本大震災で大きな被害を受けました。しかし、現在は見事に復旧され、日本でも有数の水族館として運営されています。東北・福島復興への応援も兼ねて、夏休みなどを利用して、多様な金魚を展示する「アクアマリンふくしま」(福島県いわき市)に行き、金魚の魅力を再発見してみては如何でしょうか?
>>環境水族館「アクアマリンふくしま」詳細情報