一緒に食事する頻度が低いことも遠因

食事を通しての団欒が、夫婦・家族・友人との絆を深める最も有効な手段だと考える私は、インタビューの質問項目に平日、休日の自宅での家族一緒の食事回数を質問することにしています。

別室の夫婦は、夫が平日は朝、夜ともにめったに自宅で食事をしない。中には結婚20年間で、自宅で食事した回数は数回、と答えるご家庭も。休日もゴルフなどの外出が多く、家族が食事を共にする機会がきわめて少ない生活実態が浮かびあがります。

こうした生活が当たり前になれば、家族はめいめいが、好きな時間に好きな場所で好きな物を勝手に食べることを、認め合うようになります。食を発端に色々な場面で「家族の勝手でしょ!」が拡大していきます。

その結果、表向きはお互いの生き方を束縛しない自由な個人主義にもとづく家庭環境が確立されていきます。その1つの事象が夫婦別室というわけです。それは裏を返せば、家族がどんな困難に直面し、どんなことに悩んでいるかが見えにくくなり、家族のつながりがどんどん稀薄になっていくことでもあります。

別室にするなら、こうした副作用があることを意識しながら、家族の動静についての感度を高める必要があるように思います。


経済力も別室を後押し

また、インタビューしたほとんどの方が目黒、世田谷、大田区北部に住む富裕層なので、一人一室を確保できる高い経済力が別室にすることを後押ししているともいえるでしょう。

とりわけ夫婦別室のお宅では、夫の書斎、妻の趣味の部屋が別途設けられる傾向にあります。必要とあらば、用途に合わせていくつもの部屋(たいてい5LDK以上)が確保できる経済力は、物理的には豊な住生活を可能にしてくれます。

ただし、起きているときは各自が書斎、趣味に部屋にとじこもり、寝ているときも別々の暮らし。これは、「つかず離れず」を通り越し、家の中でも「離れ離れ」です。こうなってしまえば、精神的には決して豊な生活とはいえないかもしれません。

「狭いながらも楽しい我が家」という歌詞がありましたが、「広いながらも楽しい我が家」にするには、資金力に加え、良好な家族関係をつくっていくための知恵と工夫と努力が求められるようです。

狭さに悩む庶民ですが、広さに悩むお金持ちも存在するようです。



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