住空間を豊かにするサウンド
かつて居間には一対のスピーカーがあった。そのあいだにはアンプやカセットデッキ、チューナーなどが専用ラックに収まっていた。友達とレコードを聴く、テープで録音した音楽を楽しむ。住まいのステレオサウンドは生活様式の一部分だった。ウォークマン(80年代)は音楽を屋外に持ち運び、CD(90年代)は音質を高め、曲の順番を自由にした。21世紀に入ってデバイスはさらに進化し、携帯が容易に、データ容量も格段に増えた。だがこの間、技術の向上はどこまでリビングに還元されたのか。今一つ享受しきれていないような気がしないでもない。
空間と予算が許せば、本格的なホームシアターを設営することはできそうだ。しかし、大方の現実は薄型テレビに集約(満足)してしまっているようでもある。映像はさておき、シンプルに良質な音の広がりを楽しみたい。パソコンや携帯ツールからではなく。ソファの上で、あるいは食事をしながら、気軽に楽曲を楽しむにはどのような方法があるのだろうか。
「Bang&Olufsen(バング&オルフセン)」ワイヤレススピーカー
音響を堪能するなら5.1チャンネルが望ましい。正面、正面左右、後方、そしてサブウーファーのスピーカーをセットする。テレビもデジタル放送に切り替わり、音源そのものも高質化されていることから、クオリティをそのまま味わうには臨場感のあるサラウンドシステムが基本となるだろう。後方スピーカーは配線工事を要することから大がかりな準備を要したが、ワイヤレス技術の進歩が状況を変えた。リフォームや新築(建築)時に限定されたセッティングがタイミングを選ばず可能になり、コードだらけのAV機器周りもすっきりさせることができる。
そうなると製品選びで気になることは「インテリア性をどこまで求めるか」であろう。デザインに定評のある「バング&オルフセン」では今年1月まったく新しいコンポーネント「BeoLab 18」(880,000円<税抜>)を発表。引き締まったフォルムの前面には、「ラメラ」と呼ばれる木製(オーク材)の羽根板が扇状にコーンを覆う。「サウンドを四方八方に広げて部屋を満たす」(「BeoMagazine ISSUE1」より)ためと「本体(アルミニウム)の光沢を和らげる」(同)役割を果たしている。一番上の画像は、後方スピーカー「BeoLab 17」(504,000円<税抜>)である。