マーケティング/マーケティング事例

西友が開始した異例の全額返金保証は成功するのか?(3ページ目)

4月1日、西友はスーパーでは異例ともいえる生鮮食料品の全額返金保証を開始しました。標準店舗で2000品目に及ぶ生鮮食料品を顧客が満足しなければ無条件で全額返金する大胆な制度をスタートさせたのです。果たして、西友の真意はどこにあるのか?異例の挑戦は成功するのか?マーケティング的な視点から分析していきます。

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

果たして、全額返金保証制度はスーパー業界で定着するのか?


全額返金保証

西友の異例の試みが成功すれば、同業者で追随するスーパーが現れる?!

西友といえば、かつて2002年に北海道と埼玉県の店舗でアメリカ産やカナダ産の牛肉を国産と偽って販売していたことが発覚し、特に北海道の店舗では偽装が長期にわたりレシートの提示が困難と判断した西友側がレシートなしでの返金に応じたところ、返金客が殺到し、年間売上を大幅に上回る返金額に膨れ上がったために、途中で返金を打ち切って大問題に発展したという苦い経験もあります。

最近では、消費者はインターネットで情報を手軽に共有することができるため、予想を大幅に上回る返金を求められるリスクも高くなることが予想されます。

無条件返金は確かに売上アップにつながることは間違いないでしょうが、問題は結果としてどのくらいの返金請求があるかでしょう。一般的には返金を求める顧客は2、3%、多くても5%程度といわれていますが、『偽装肉返金事件』の時のように、返金希望の顧客が殺到するなら西友にとっては悪夢の再現となりかねません。

全額返金保証は、今のところ期限を設けずに無条件で続けられる計画なので、日本の消費者の“良心”と西友の“本気度”が試されることになりそうです。

かつて百貨店で下取りサービスを実施したところ売上アップにつながったということで、ライバル各社がこぞって同様のサービスを導入したというケースもあります。

同じように、生鮮食料品の全額返金保証も、結果次第ではスーパー業界の新たな売上アップ戦術として追随するライバル企業も現れてくるのではないでしょうか。
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