起業・会社設立のノウハウ

売る商品の原価構造を把握しよう(2ページ目)

起業して事業を始める以上、自分が売る商品・サービスの原価構造をガッチリと把握しておきたいもの。ここがあやふやなまま起業してしまうと、身の丈以上の設備投資、値付けや見積りの失敗、赤字続きの事業運営など、さまざまな弊害をもたらします。事業計画書を作成する段階で、細かい点までじっくりと検討し、原価構造を把握しておきましょう。

中野 裕哲

執筆者:中野 裕哲

起業・独立のノウハウガイド


その他経費

その他の経費も比率をイメージしておこう

その他の経費も比率をイメージしておこう

店舗運営に掛かるその他の経費もみておく必要があります。主なものとして以下があります。

水道光熱費…飲食店での目安は売上の約5~8%。他業種ではもっと少なくなります。

■消耗品費
…いろいろなものを揃えるために開店当初は多くなり、落ち着けば少なくなります。飲食店の例では、レジ、電話機、食器類などです。

■広告宣伝費
…飲食店での目安は売上の3%程度。広告宣伝費は重要です。掛け過ぎてもダメ、全く掛けないのもダメ。事業計画書の時点で広告宣伝の方法をじっくりと検討し結論を出しておきましょう。

大事なのは、支出1万円あたりのリターンです。例えば、100万円のデジタルサイネージを導入したとして、それを見て、通りがかりの人が何人来店するでしょうか?本当に元を取れますか?ホームページなどに最初からお金をかけ過ぎることも同様です。業者のススメに飛びつかず、よく考えましょう。

■事務コスト
…飲食店での目安は売上の1~2%程度。専門家の報酬、アウトシソーシング費用です。一見、ムダな支出に見えますが、税務会計、人事労務、法律などで最低限のことをしておかないのは企業として大きなリスクを抱えたままの状態になります。コストダウンしつつも、最低限のことはクリアしておきましょう。また、コストと考えず、良い専門家のアドバイスを活かして、どう元を取るかという感覚が大事です。

利益

飲食店の場合、利益は10%以上を目指したいところです。注意点としては、ある程度の利益を出しておかないと金融機関からの新規借入れがキツくなるということです。例えば、飲食店の場合、2号店の出店を目指しているのであれば、どの時期にどれだけの利益をいくら出しておくべきか、という視点を最初からもっておきましょう。つまり、節税しすぎも良くないということです。

原価構造と値付けの重要性

値付けや見積もりがうまくいくかどうかは、売上の生命線ともいえます。そのためには、コストを抑えつつ価格競争力を高め、同時にクオリティを高める必要があります。それには、不断の改善努力が必要です。

今の成熟した経済の中では、何も考えずに普通に経営していてもやっていけません。各費目で平均的なお金のかけ方をすれば良いとは限らないのです。掛けるところは他社よりも掛ける、削るべきところは他社よりも思い切って削る。起業前も起業後も、常に改善し努力し続けることが重要ですね。
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