起業するとき、事業計画書を書いてみることは基本中の基本です。創業融資を借りたいときはもちろん、これから始める事業を軌道に乗せ、より発展させていくためにも必要な作業といえるでしょう。その中で、商品・サービスをいくらで売るか、何にいくらを使って良いか、という判断が非常に重要な位置を占めます。ここをあやふやにしか考えていない経営者は起業して失敗する確率が高いともいえます。そのようにならないためにも、売る商品の原価構造について見ていきましょう。

原価構造についてまずはシンプルに理解してみよう

原価、人件費、固定費などの比率を把握しておこう

原価、人件費、固定費などの比率を把握しておこう

原価構造というと難しく感じますが、簡単です。難しく考えず、シンプルに理解しておけばOKです。

わかりやすい例として、一般的な飲食店の場合を見ていきます。ここでは基本的な考え方としてご覧いただき、自分の業種に置き換えた場合はどうなるのか、参考にしてください。

売上が1000円だとしたら、原価、人件費、固定費などが、いくらずつ含まれる状態になるか、内訳を計算していきます。飲食店での標準的なモデルとしては、以下のようになります。

売上     1,000円(100%)
原価      300円(30%)
人件費     300円(30%)
固定費     200円(20%)
その他経費   120円(12%)
利益       80円(8%)

当然ながら、あくまで標準的なモデルであり、これが一番良いという話ではありません。それぞれの業態や事情、経営スタイルにより、最適な配分は違ってきます。次に、各項目ごとに詳細を見ていきましょう。

原価

飲食店では、標準的な原価は売上の約30%といわれますが、業態や経営方針、メニューによって大きく違ってきます。お好み焼きなどの「粉もの」であれば、15%、20%ということもあるし、味で勝負している焼肉店では50%を超えるということもありえます。他の業種では、当然ながらいろいろと違ってきます。価格の決定とクオリティの水準、両者の関係にも大いに関わってくる部分です。

人件費

飲食店の人件費は売上の約30%くらいが標準で25%くらいを目指すと良いといわれます。人数、社員かアルバイトか、待遇条件などで人件費率は違ってきます。昨今の飲食店ではフロアのスタッフが少なめですよね。その状態だと、お客様側から見てサービスが悪い店という評価につながらないか、スタッフ側も一人ごとの作業量が増え、不満をつのらせることならないかなど、コスト面だけではなく多方面からの深い検討が必要でしょう。

なお、飲食店の場合、よく「FL比率」という言葉が出てきます。原価(FOOD COST)と人件費(LABOR COST)の合計が何%かです。飲食店経営者、店長は、このFL比率が60%を切るように努力しろといわれます。もちろん、業態や経営方針によるので、必ずしもそれが良いというわけではありません。

固定費

どんな業種でも固定費は発生します。売上との連動がないのであれば、なるべく削減したい項目のひとつといえます。固定費の中で、特に代表的なものが家賃と減価償却費です。 

■家賃
飲食店の場合は、固定費で一番大きいのは店舗の家賃です。現実的にはなかなか厳しいですが、一般的には売上の10%以下を目指すと良いといわれています。業態や立地でも大きく違ってくる部分です。これから起業する場合、売上自体が全く不透明な中、多額の家賃が発生する物件の契約を結ぶのはひとつのリスクといえます。堅実な売上予想に基づき、比率にも注意しながら慎重な物件探しをオススメします。

なお、激狭な立ち食い店舗だとすれば、家賃が抑えられる、スタッフ数が少なくて済む、設備投資が少なくて済む、客の回転率が良くなるなど、多くの恩恵が受けられます。立ち食いスタイルでの開業が流行っている理由のひとつがこの点にあります。

■減価償却費(設備投資資金)
内装工事費、排煙工事費、厨房機器などの設備投資資金は、開店したその年に全て経費にできるわけではありません。税務的に耐用年数というものが決まっていて、その耐用年数に基づき少しずつ償却をしていきます。例えば、電気冷蔵庫の耐用年数は6年。6年間で少しずつ経費にしていくというわけです。支出に基づいて受ける恩恵がその年だけではなく、複数年にわたって受けるからです。

この設備投資については多額になることが多いため、経営への影響は大きくなります。内装工事にどれだけお金を掛けたのか、居抜きかどうかなどにより減価償却費の額はかなりの違いがあります。「ずっと自分の店を持ちたくてようやく開業できた」、そんな人ほど、豪華な内装や看板、厨房機器などに目がくらんでしまうものです。内装業者のススメを鵜呑みにせず、予算感を維持しつつ冷静に判断してください。他の業者から相見積もりをとり比較してみることもお忘れなく。