マーケティング/マーケティング事例

なぜ大阪‐上海間の航空運賃を1円にできるのか?

中国の上海に本社を置く格安航空会社(LCC)の春秋航空が大阪‐上海間の新規就航を記念して、片道の航空運賃が1円となるキャンペーンを実施しています。果たして航空運賃1円でも大丈夫なのか?その狙いはどこにあるのか? マーケティング戦略の観点から狙いを浮き彫りにしていきます!

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

大阪‐上海間の航空運賃が1円になるキャンペーンを実施!

1円キャンペーン

LCCの春秋航空が大阪‐上海間の航空運賃を1円にするキャンペーンを実施!

中国の上海に本社を置く格安航空会社(LCC)の春秋航空が大阪‐上海間の新規就航を記念して、片道の航空運賃が1円となるキャンペーンを3月25日から27日まで3日間限定で展開しています。

燃油サーチャージや空港使用料など諸税は別途必要となりますが、当選すれば航空運賃がわずか1円で大阪から上海まで行くことができるというわけです。

格安航空会社だけに通常の最安値でも大阪‐上海間が6500円という値段ですが、それをも軽く上回り、まさに儲けを度外視した破格のキャンペーンといえるでしょう。

それでは、春秋航空はなぜ航空券を1円で販売するのでしょうか?

今回は“1円キャンペーン”の裏に隠されたマーケティング的な狙いを浮き彫りにしていくことにしましょう。


なぜ航空券を1円で販売するのか?

“1円キャンペーン”は、もちろん大阪‐上海間の就航を記念したプロモーションといえますが、その背後には話題となるイベントを仕掛けてより多くのマスメディアに取り上げてもらおうという『パブリシティ戦略』があります。

企業は自社の製品やサービスを広く消費者に知ってもらうために多額の費用をかけてプロモーションを展開していきます。たとえば、テレビCMを流す場合には数億円、全国紙の全面広告であれば数千万円という費用をかけて自社製品の認知度を高めていきます。

ただ、これだけ多額の費用を広告代として投入しても、今や消費者は広告とわかれば、ほとんど注意を向けない時代となっています。そこで、企業は広告よりも話題性のある活動を意図的に実施して多くのマスメディアに取り上げてもらい、多くの消費者の注目を集めるパブリシティ戦略に力を入れているのです。

パブリシティ戦略で使われるメディアは、テレビや新聞、雑誌など広告とまったく同じものになりますが、多額の費用を負担しなければならない広告に比べ、無料で自社製品を紹介してもらえるというメリットがあります。しかも、消費者の反応は広告とは比べ物にならないくらい高くなりますので、企業側にとっては好都合なのです。

一方で、どの製品やサービスが取り上げられるかは各メディアに委ねられ、必ずしも自社製品を紹介してもらえるとは限らないという難しさもあります。そこで企業側とすると、少しでもメディアに取り上げてもらう確率を高めるために、非常にインパクトのあるプロモーションを展開することになるのですが、今回の春秋航空も多くのメディアに取り上げてもらい、認知度を高めていくために大阪‐上海間の航空運賃を1円とする驚きのキャンペーンを実施するに至ったのでしょう。

果たして国際航空券を1円で販売しても大丈夫なのか?次のページで今回のキャンペーンの裏側に迫っていきます!次ページへお進み下さい!
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