日本IBM社、過去の成功人事
後継者人事は経営の最重要課題の一つです
後継者選択という際に有力な3名の候補者がいました。2名が営業で卓越した実績を上げられた攻めのタイプ、1名が技術に精通され、大規模なシステム開発やマネジメントで功績があられたシステムエンジニアの方でした。
下馬評では営業出身者が有力でしたが、後継者に選択されたのは日本IBM史上初めてシステムエンジニア出身の北城恪太郎さんでした。北城さんは経済同友会の代表幹事等を歴任され、財界の中でも名経営者の一人です。
この人事にはじめはびっくりしましたが、当時のIBMの戦略はハードウェアからソフトウェア、そして、サービスへシフトしていく中長期戦略だったので、そういう意味で一番適任者であった北城さんへバトンタッチされました。
戦略と組織とが見事に一致して、結果として、いち早くコストカットに着手され、計画通り事業のシフトが進行した結果、90年代中盤から2000年代中盤に掛けてコンピューターメーカーの中で一人勝ちをしたのです。これは後継者選択が市場のニーズと戦略に合致した典型的な成功例と言えましょう。
読者の皆さんはリーダーとして、担当する組織サイズを前提に、まず戦略を確認しましょう。攻めなのか守りなのか?そしてそれに合致した組織をデザインすることです。
組織のトップであるあなたのタイプと戦略フェーズとがミスマッチした場合は、参謀役に自身と補完するタイプで戦略フェーズに合った人をいち早く任命することです。トップを一人ではなく、複数名のトップマネジメントシステムとして捉えることで問題は解決します。
リーダーとして、このようなメカニズムが組織には存在することを忘れないようにし、戦略に合った最適な組織編成をされるよう心掛けましょう。