リーダーシップ/リーダーシップの基本知識

リーダーは戦略と組織とを一体化せよ!(2ページ目)

組織が先か、戦略が先か、組織論の中で永遠のテーマです。アメリカはまず戦略ありきの考え方、日本はまず組織、つまり、人ありきの考え方に立脚していると言えましょう。戦略から組織を考え、そのポストに相応しい方を置く考え方と、その人からどんなことができるかを考え、組織を柔軟に設計する考え方の違いです。

藤田 聰

執筆者:藤田 聰

キャリアプラン・リーダーシップガイド


日本IBM社、過去の成功人事

後継者人事は経営の最重要課題の一つです

後継者人事は経営の最重要課題の一つです

ガイドの私がかつて所属していた日本IBM社。70年代中盤から90年代前半まで、日本IBMの地位向上に絶大な貢献をされたカリスマリーダーの椎名武雄さんが20年近く社長として統率されていました。

後継者選択という際に有力な3名の候補者がいました。2名が営業で卓越した実績を上げられた攻めのタイプ、1名が技術に精通され、大規模なシステム開発やマネジメントで功績があられたシステムエンジニアの方でした。

下馬評では営業出身者が有力でしたが、後継者に選択されたのは日本IBM史上初めてシステムエンジニア出身の北城恪太郎さんでした。北城さんは経済同友会の代表幹事等を歴任され、財界の中でも名経営者の一人です。

この人事にはじめはびっくりしましたが、当時のIBMの戦略はハードウェアからソフトウェア、そして、サービスへシフトしていく中長期戦略だったので、そういう意味で一番適任者であった北城さんへバトンタッチされました。

戦略と組織とが見事に一致して、結果として、いち早くコストカットに着手され、計画通り事業のシフトが進行した結果、90年代中盤から2000年代中盤に掛けてコンピューターメーカーの中で一人勝ちをしたのです。これは後継者選択が市場のニーズと戦略に合致した典型的な成功例と言えましょう。

読者の皆さんはリーダーとして、担当する組織サイズを前提に、まず戦略を確認しましょう。攻めなのか守りなのか?そしてそれに合致した組織をデザインすることです。

組織のトップであるあなたのタイプと戦略フェーズとがミスマッチした場合は、参謀役に自身と補完するタイプで戦略フェーズに合った人をいち早く任命することです。トップを一人ではなく、複数名のトップマネジメントシステムとして捉えることで問題は解決します。

リーダーとして、このようなメカニズムが組織には存在することを忘れないようにし、戦略に合った最適な組織編成をされるよう心掛けましょう。
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