腕のポジションは、チケッティ・メソッドが多く使われています(他に、フランス派、ワガノワ派などがあります)。これは日本だけでなく、全世界的にもそのようです。ワークショップなどで来日する海外ダンサーのレッスンなどでも、チケッティ・メソッドが採用されています。このメソッドで使われる腕のポジションは1番から5番まであります。その中で1番と3番はほとんど使われていないので、2番、4番、5番について説明します。


腕のポジションは、チケッティ・メソッドが多く使われています。今回は、2番、4番、5番について説明します。

腕のポジションは、チケッティ・メソッドが多く使われています。今回は、2番、4番、5番について説明します。

5番

このポジションから説明すると、後の2番、4番が理解しやすいので、まずは5番から。皆さんが聞いているポジションのアン・バ、アン・ナヴァン、アン・オーは全て5番のポジションです。これは聞いたことがない、という方が多いと思います。アン・バは5番のアン・バ。アン・ナヴァンは5番のアン・ナヴァン、アン・オーは5番のアン・オーです。

・5番のアン・バ
アン・バは 「下方に」 という意味です。アン・バのポジションは次のように作ります。
腕を体に沿って自然に下ろし、上半身の前に置きます。手首と肘を丸くし、腕で長い楕円を描くようにします。肩には力を入れず、前肩にならないように注意します。

・5番のアン・ナヴァン
アン・ナヴァンは 「前方に」 という意味です。5番のアン・バの位置からみぞおちの高さまで腕を上げます。肘を下げないように張り、指先が垂れ下がらないように注意します。指先を少し上半身に近づけ、アン・バのように長い楕円ではなく円を作るようにします。

◎ここを注意!
アン・ナヴァンで長い楕円ではなく円にするのは、長い腕だと回転の邪魔になるからです。回転での腕は、回転の軸に沿うように、上半身になるべく近づける必要があります。昔物理で習ったモーメントのことです。腕が上半身から離れるとモーメントが大きくなってしまうので、回転の軸がぶれてしまいます。テコの原理と同様です。腕を上半身に近づけるというのは、物理的に理にかなった回り方となります。

・5番のアン・オー
アン・オーは 「上に」 という意味です。5番のアン・ナヴァンの位置から腕を頭の上まで上げます。上に上がっても腕の使い方はアン・バとまったく同じです。指先の位置は真上ではなく、頭よりも少し前に置きます。ところが、男性とデュエットを踊るときは、指先の位置が変わります。どこに置くかというと、頭の真上に置きます。一人で踊るときと男性と踊るときでは指先の位置が違いますので、踊り分ける必要が出てきます。

◎ここを注意!
アン・ナヴァンから腕を上げるときは、円を楕円に戻す必要があります。肘を少し伸ばしながら縦に長くなるように楕円を作りましょう。


2番

2番は、5番のアン・ナヴァンから左右に開いた腕のポジションです。動かすのは腕だけですが、肩がつられて動くことがあります。でも正しくは肩は動いてはいけません。肩は常に後ろに引いて、その位置を保つように注意します。肩・肘・中指の3点が1本の滑らかなラインを作るようにします。

◎ここを注意!
動かし方に注意します。アン・ナヴァンから動くときは3段階で動かします。下記ような段階を踏んで動かすと自然な動きになります。
第1段階:指先から円を描くように引っ張っていく。
第2段階:肘を開く。
第3段階:腕全体を肩から開く。


4番

4番の腕のポジションには2種類あります。アン・ナヴァンとアン・オーです。

・4番のアン・ナヴァン※

右腕は2番、左腕は5番のアン・ナヴァンのポジションをとります。

・4番のアン・オー※
右腕は2番、左腕は5番のアン・オーのポジションをとります。

※それぞれ左右が入れ替わるポジションも取ります。


◎理解して動かす

普段皆さんが耳にしているアン・バ、アン・ナヴァン、アン・オーは5番だということを理解するだけで、腕のポジションの理解が深まると思います。知らないで踊るのと、知って踊るのとではその動きの精度に差が出ます。また、腕のポジションが1番から5番まであるというのを知ると、今回取り上げなかった1番と3番についても知りたいと思うことでしょう。そうした好奇心もバレエの上達を助けてくます。1番と3番については、後日……。


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