スケートとバレエ

スケートとバレエ

芸術的スポーツで 「美しさ」 が要求されています。フィギュア・スケートのジャンプをする前の腕の動きやスパイラルでのポーズなど、本当に美しいスケーターが多くいます。新体操などでも美しいジャンプのポーズやグラン・フェッテ・アン・トゥールナン (新体操ではフェッテピボットと呼びます) など、バレエと大変よく似ています。でもスポーツとバレエは分けて考えられます。何が似て非なるものなのか。ちょっと考えて見ましょう。


1. バレエとスポーツ

バレエとスポーツと聞いて思い浮かべることは、バレエにスポーツ的要素はあまり含まれていないが、芸術的スポーツにはバレエの要素がたくさん含まれている、ということではないでしょうか?

冬季五輪で話題のフィギュア・スケートの選手たちの腕がバレエの動きのようにしなやかだと、心奪われるものがあります。膝も伸びて、きれいな脚のラインになっている選手も美しいですね。ジャンプの手前の腕や脚のラインなど、疎かになりがちな部分にも注意が行っている選手もすばらしいです。彼らはバレエを習っているのでしょうか? ロシアではスケーターはバレエを習っていると聞いたことがあります。ソ連時代は、国が全面的にバックアップして選手を育成していましたから、カリキュラムの中にバレエが入っていたようです。

バレエでは膝を伸ばしきることが大切ですが、フィギュア・スケートでは、膝を伸ばしきることはないようです。あの細いブレード (スケートの刃) で全体重を支え、さらにバランスを取るのですら、膝を曲げるのは当然といえば当然です。ただ、膝の曲げが少ない選手とたくさん曲がっている選手とでは、やはり美しさに差が出るのは当然ではないでしょうか? 膝の曲げ角度が採点にどの程度反映されるのかわかりませんが…。

新体操や器械体操では、足の甲までしっかり伸びていることが重要ですね。新体操では甲の伸び具合で採点が違います。新体操のルール・ブックに、足の甲の伸ばし方やルルヴェの高さ、膝の伸ばし、ターン・アウトの角度などの評価基準が載っています。新体操はバレエにとても似ています。

◎スポーツ観戦、ここをチェック!
芸術的スポーツを観戦するとき、やはり動きのしなやかさを見て、「あ、この選手はバレエをしっかり学んでいるな」 とか 「この選手はバレエが足りないかも…」 などとチェックしてみるのも楽しい観戦の仕方ではないでしょうか? 自分のお気に入りの選手がよい点を取り、審査員の評価が自分のそれと似ていたら、ちょっとうれしいですよね。


2. 選手からバレエダンサーへ

有名なダンサーの中には元スポーツ選手が結構います。スポーツからバレエへの転身はどのようにして起こったのでしょうか。

現グルジア国立バレエ団芸術監督・元ボリショイ・バレエ団プリンシパルのニーナ・アナニアシヴィリさんは、4歳から10歳までフィギュア・スケートをしていました。10歳のときに地区大会で優勝するほどの実力の持ち主だったそうですが、バレエ関係者に誘われてバレエに転身しました。

元パリ・オペラ座バレエ団エトワールのシルヴィ・ギエムさんは、器械体操の元五輪ジュニア代表でした。12歳のときに、当時パリ・オペラ座バレエ学校のクロード・ベッシー校長にスカウトされてバレエの世界に入りました。こちらもスカウトですね。

その他にも器械体操をしていて背が高くなりすぎたからバレエに転身するというケースもあります。器械体操では、背が高くなりすぎると技を決めるのが難しくなるからだそうです。

バレエの世界では長身化が進んでいるので、「背の高い選手はバレエに転身」 とはとても現実的な判断ですね。

バレエとスポーツは、似て非なるものではありますが、バレエ的要素を探しながらスポーツ観戦するのは、バレエを習っている大人リーナの楽しみですね。



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