ストレス/身近な人のストレスケア

就活でつらい?就活中の子に親がすべきサポート・NGな声かけ

【公認心理師が解説】就職活動中の子どもは、ストレスや疲れを抱えやすいもの。内定が取れず不安や葛藤の中にいても、気持ちを理解して受け止め、自信を回復させることが大切です。過干渉や言ってはいけない言葉をかけないよう注意を。就活中の子に対する親の適切な支援、接し方のポイントをご紹介します。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

就活がつらい……就職活動に挑む子の試練と自立の苦しみ

子供の就活がつらい、心配、ストレス…親の役割・できること

慣れない自己分析や自己PR、不採用通知を受けった時のショックなど、就活は子どもにとって大きな試練です

「子どもは人生で3度、自立の苦しみを経験する」と言われます。最初の自立は「魔の2歳児」といわれる第一反抗期。2回目の自立は「思春期」である第二反抗期。そして 、3回目の自立が就職活動期です。就活は、親の庇護から脱し、自力で生きるための若者最後の「自立期」。親子双方にとって、最も大きな試練の時期となります。

就活を通じて、若者は「自分とは何者か?」「自分自身を社会でどう生かせるのか?」という難問に直面させられます。そして、社会における価値を問われます。こうしたなか、内定が取れない状況が続くと、子は自信を喪失してしまうものです。
 

親が就活中の子どもに言ってはいけない一言

子供の就活がつらい、心配、ストレス…親の役割・できること

子を思えばこそ、余計な一言がつい口をついてしまう。その言葉に、子どもはとても傷つくこともあります


この就活期に、親は何気ない言葉をつぶやきながら、子の心を傷つけてしまうことがあります。就職が決まらないことへのあせりから、次のような言葉をかけてしまうことがあるかもしれません。
  • 「もっと貪欲に! どんどんアタックしていきなさい!」
  • 「学生らしく! もっとハツラツとしなきゃダメ!」
  • 「お父さん(お母さん)は、今の時期には何社も内定がとれてたよ」
  • 「同級生の○○くんは、もう内定とれたみたいね」
  • 「いつまでも親に甘えられると思ってない?」
  • 「そんな小さな会社しか受からなかったの?」
何気なく口をついた言葉だからこそ、子どもは深く傷ついてしまいます。では、このデリケートな就活期に、親はどのような姿勢で子に接したらいいのでしょうか? 4つのポイントをお伝えします。
 

1.不安な気持ちをドンと受け止める

親が子のためを思って気の利いた言葉をかけると、「余計なお世話だ!」と反発されることが多いもの。逆に、不安をドンと受け止めると、子は心を開きやすくなります。 そして、就活に直面する複雑な心境を、子は打ち明けにくいものです。だからこそ、会話の呼び水となる一言を親の方からかけてみましょう。

「元気がないね。よかったら話を聞かせてくれない?」
「疲れてるみたいね。ちょっと話そうか」


こうした言葉をきっかけに、子の素直な気持ちを引き出してみましょう。
 

2.状況と気持ちをまるごと聞き、苦労をねぎらう

1.で会話のチャンスをつかんだら、子の話をまるごと否定せずに聞きましょう。就活が難航すると、親の一方的な価値観を伝えがちになってしまうもの。親の価値観は脇に置き、まず子の話をとことん聞きましょう。そして、「よく話してくれたね」「大変だったね」とこれまでの苦労をねぎらいましょう。

話をしたくないようなら、無理に聞きださないことです。「その気になったら、いつでも話してね」「力になれると思うから、今度気持ちを聞かせてね」。このようなメッセージを伝えておくと、気が向いたときに話しやすくなります。
 

3.親の”ひいき目”で、子の「強み」を発掘して伝える

子供の就活がつらい、心配、ストレス…親の役割・できること

「強み」や「売り」は、自分一人では見出しにくいもの


親だからこそできるアドバイスは、必ずあります! 特にわが子ならではの「強み」は、いつも自分の子を”ひいき目”で見ているからこそ、発掘できるポイントです。

自分のよいところをまったく見出せず、「自分は暗いからダメ」「私はトロいからダメ」などと自己卑下している子もいるでしょう。そうした子を親の”ひいき目”で見ると、どのように映るでしょう? 「謙虚ないい子だ」「自慢屋よりよっぽどいい。誠実な証拠だ」などと感じたりするのではないでしょうか。それこそが、わが子ならではの「強み」です。

就活期の子が自分を卑下しているなら、親の”ひいき目”で子どもの個性を捉え、「弱点」を「強み」に変えてあげましょう。そして、自己PRにつながるエピソードを一緒に掘り起こしていくと、子は自分の強みを思い出せると思います。
 

4.「家庭内圧迫面接」は絶対にNG! 一歩進む勇気を促す

家庭内で「圧迫面接」をしても、百害あって一利なしです! たとえば、なかなか就活ができずにいる子に「今まで何をやってきたの!?」と詰問しても、メリットはありません。「大丈夫。今からだって遅くない」「やる気が出たときこそ潮時。きっといいご縁がある」というように希望を示し、一歩進む勇気を促してあげることです。

また、履歴書の文が稚拙だと感じても、悪く批評しないようにしましょう。「ここをもっと詳しく書くと、面接官は興味持ってくれると思うよ」というように、何をどう書くと読み手に響くのか、具体的に示してあげるといいでしょう。
 

親がいちばんしてあげられることは? 過干渉にならず「心のサポート」を!

子供の就活がつらい、心配、ストレス…親の役割・できること

親のさりげない支えが子どもの勇気の源になる

批判的な言葉でプレッシャーをかけたり、わが子と一緒に不安になったりするのはよくありません。かといって、「もう大人だから、自分で考えてできるだろう」と放置しているだけでは、なかなか内定に結びつかない子もいるでしょう。

もちろん、本来の就活は親に頼らず、学内外の就活支援機関などを自主的に活用しながら、自分で工夫して挑むものです。ですが自主性を期待していると、器用な子たちにどんどん先を越され、不器用なわが子は不利なままになってしまうかもしれません。

就活のプレッシャーを若者が1人きりで抱えるのは、つらいものです。アスリートにコーチが必要なように、就活に挑む子にも本音を受け止め、自信を持たせてくれる存在が必要です。他人に頼れないなら、親がその役割を担ってもよいのです。

お子さんが自信を持って「社会」という大空に飛び立てるよう、心にしっかり寄り添い、頼れる相談相手になってみてはいかがでしょう。きっと、お子さんの強い味方になれるのではないかと思います。

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