国会議事堂

景気は穏やかに回復し、住宅市場にも活気が戻る。

1月24日、「好循環実現国会」と位置付けられた通常国会が150日間の会期で開幕しました。わが国の経済は緩やかな回復を続けており、帝国データバンクによると2013年の倒産件数は4年連続で前年を下回り、リーマン・ショック後、最少となりました。

建設業は公共工事の増加や消費税率引き上げ前の駆け込み需要などにより年間を通して好況となり、不動産業も株価の上昇や景気好転への期待感などを背景に、業界環境の改善が倒産件数の減少につながっています。

2013年の首都圏の新築マンション供給数を見てみると、前年比23.8%増(5万6478戸)、特に都内23区は同46.1%の高い伸びを示しており、契約率も79.5%と高水準でした(不動産経済研究所)。また、首都圏の中古マンションも2年連続で過去最高の成約件数を記録しており、成約価格は上昇基調です(東日本レインズ)。増税前の駆け込みや住宅価格の先高観に刺激される格好で、消費者の購入マインドは改善しています。

その甲斐あってか、大手不動産業者は販売が好調です。「東急不動産HD」「住友不動産」「三井不動産」「三菱地所」「野村不動産HD」5社の連結決算(2013年4月~12月)は、いずれも営業増益となりました。新築・中古を問わず、好調な住宅販売が業績の底上げにつながっています。

安倍政権による金融経済政策「アベノミクス」が15年以上も続くデフレマインドを払拭し、景気回復期待により経済を活性化させていることが要因なのは間違いないでしょう。「好循環」実現の目標である給料アップに関しても、今春の労使交渉(春闘)は過去20年とは様相が異なります。2014年3月期に2兆4000億円と巨額の営業利益を見込むトヨタ自動車の労働組合が5年ぶりのベースアップ(ベア)を要求するなど、企業規模や業種による差はあるものの、賃上げムードは広がりを見せています。

あとは「期待」ではなく「実感」として、誰もが景気回復を感じられるか?―― まさに2014年はアベノミクスの真価が問われます。

耐震偽装の姉歯・元一級建築士 懲役5年の刑期満了で今はどこに…… 

しかし、「明」があれば「暗」があるのが世の常。上述したトヨタ自動車は主力車「プリウス」の制御システムに不具合が判明し、今年2月、日本国内で約100万台、海外で約90万台、合計およそ190万台のリコール(回収、無償修理)を届け出ました。ケタ違いのリコール数です。

昨冬には老舗ホテルや有名百貨店のレストランでメニューの誤表示(偽装)が多発し、食の安全に関する不信感が高まりました。また、年明けにはマルハニチロの子会社の従業員が冷凍食品に農薬マラチオンを混入させる事件もありました。健康被害が出ているだけに、言語道断といわざるを得ません。

信用不安という意味では、住宅業界では大手建材メーカーの「ニチアス」が建材の耐火性能を偽って大臣認定を不正に取得していた問題がありました。さらに、悪意のある蛮行としては、偽造した免許証の写しなどにより、非一級建築士が一級建築士と詐称する愚行が後を絶ちません。建築士の無免許者による“なりすまし”行為が横行しているのです。建物の安全性にかかわるだけに看過することはできません。

愚の骨頂といえば、忘れられないのが2005年11月に発覚したマンションやホテルの耐震強度偽装です。いわゆる“姉歯ショック”はマンション業界を震撼させました。

余談ですが、姉歯事件により有罪判決を言い渡されたのは下表の4名です。主犯格である姉歯秀次氏だけが執行猶予のつかない実刑判決を受けました。ただ、5年の懲役刑も刑期満了となり、今は普通の生活に戻っているはずです。どこで何をしているのかは知りませんが、“お役目”を終えて自由の身になっているわけです。住宅業界を混乱させた耐震偽装事件も、時間の流れとともに薄れ行く(風化する)のを止められません。

耐震偽装事件にかかわった4名の裁判結果

 

この事件を契機に、マイホーム検討者は「大手志向」へと物件の選択基準を変えるようになりました。会社の知名度やブランド力を選択の優先順位に据えて、マンションを選ぶ傾向が強まりました。「大手の有名企業なら安心」という雰囲気が自然と広がっていったのです。

しかし、「大手だから…」という信頼感も、少子高齢化や人口減少による市場規模の縮小、また、グローバル化の進展による価格競争の激化などにより、安全神話は絶対的とは言えなくなりつつあります。前述した190万台というトヨタ自動車のリコール問題、老舗ホテルや有名百貨店のレストランでのメニューの誤表示 ―― そして、マンション業界でも大手による不祥事が、またしても発覚しました。

次ページでは、その不祥事の真相に迫ります。