まとめと総括-世界標準の共通言語とは何か
リーダーとしての共通言語は何かを探ればこれからのリーダー像が自ずと見えてくるだろう
私はリーダーはリーダーであって、どこの国でも能力要件や性格要件は大差がないと考えます。グローバルという枕詞が付くのは日本という特殊な地理的・心理的要素があるからです。よって、まずはリーダー開発が前提であり、その上で、諸外国でもリーダーシップを発揮できる人材の育成を手掛けるべきでしょう。
1点、文化コードの違いはグローバルで仕事をする際、きちんと理解する必要があります。神への絶対的な価値観が存在するコード、道徳や人間関係が重視されるコード、法やルールに厳格で倫理観が確立されているコードにより、契約や仕事のコンセプトが全く違うものになるからです。国際ルールを守らないと訴訟で負けたり、数百億円単位の大きな損害を受けるリスクがあります。
今の時代、リーダーとは「指導者」ではありません。「命令と服従」ではなく、「納得と同調」が求められます。「オピニオン・リーダー」と言う言葉はこれを最も言い当てているかと思います。メンバーやフォロワーが納得する前提として、その分野での実績が卓越しているかどうかです。
あとはメンバーとの「対話力」です。一方的な指示でなく、双方向の対話により、合意や納得が生まれるのです。コーチングというのはこの部分の技術です。或る調査によれば、強制目標と納得目標とでは、納得目標の方がモチベーション(やる気)に関して約3倍高いとのことです。
リーダーの職務はビジョン・方向性を示し、メンバー一人ひとりのやる気を高めることに尽きるでしょう。
プロスポーツの世界は体で表現する技術そのものが世界の共通言語です。ビジネスの世界では卓越した専門性(技)や人間的魅力(心)に加え、異文化理解と語学力を含めたコミュニケーション・リーダーシップが世界標準の共通言語と言えることでしょう。