企業のIT活用/システム導入事例

黒田官兵衛 備中高松城を水攻めにする(2ページ目)

力攻めで高松城を落とすのは難しいと考えた秀吉は城を水没させることにします。水攻めするための堤を作りはじめると難題がいろいろと発生し黒田官兵衛を中心に解決していきます。アジャイル開発について考えていきましょう。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

アジャイル開発プロジェクトがスタート

アジャイル開発プロジェクトがスタート

アジャイル開発プロジェクトがスタート

市場がどんどん変わっていくなか、企業は競争優位性を獲得できるよう業務のあるべき姿を再構築し続けています。従来のようにシステム要件を洗い出し、整理して仕様書を作って開発していくやり方では、開発途中でユーザーの要求が変わってしまい、システムができあがってもビジネス上の価値が下がってしまいます。

そこで従来のウォータフォールモデルではなく、アジャイル開発を導入することとなりましたが、会社にとっては初めての手法なので、とまどうことばかり。そこでアジャイル開発を経験したことのある人を顧問に招き、プロジェクトがスタートしました。

※アジャイルとは「俊敏な」という意味で、開発プロジェクトの期間を短期間に区切り、部分的に機能をリリースしていくことで、段階的にシステム全体を仕上げていきます。

PM:「顧問、このままですと予算オーバーになりそうです。」

顧問:「何かありましたかプロジェクトマネージャー?」

PM:「完了した機能と、これから手をつける機能の両方を管理しているのですが、終わった機能についても変更要求が利用部門からきており、この調子でプロジェクトをすすめていくと、いつまでも終わらず、予算オーバーしてしまわないかと危惧しています。」

顧問:「それは困りましたね。開発の優先順位に少し問題があるかもしれません。」

PM:「優先順位ですか?システムの稼働日から逆算して開発スケジュールを決めているんですが。」

顧問:「それは利用部門と話あって決めましたか?」

PM:「いいえ、システムのことはシステム部で決めています。」

顧問:「アジャイル開発では利用部門との協働プロジェクトですすめていきます。対話を通じて、システム開発の様々なムダを省いていかなくては俊敏な開発になりません。開発スケジュールも利用部門と協議し、ユーザーがすぐに欲しいものから優先して開発していきます。」

アジャイル開発は利用部門との協働プロジェクトで行う

利用部門と協働しながらお互いに知恵を出しあう

利用部門と協働しながらお互いに知恵を出しあう

プロジェクトマネージャーは顧問を含め開発メンバーと利用部門を集めた会議を開くことにしました。利用部門からはすぐ使いたい機能や、既存のものにこんな機能をつけてほしいなど様々な意見がでて、だんだん収拾がつかなくなってきました。

顧問:「まず皆で確認しないといけないのは、開発する人間、時間、コストが限られていることです。皆さんの全ての要求を聞いていれば、プロジェクトは間違いなく破綻します。開発メンバー、利用部門で知恵を出しあって、問題解決をしていかなくてはなりません。」
顧問の言葉を引き取って、プロジェクトマネージャが議論を始めます。

PM:「まずは開発スケジュールについてですが利用部門の皆さんと協議して緊急性、重要度から優先順位をつけたいと思いますが、よろしいですか」

利用部門:「確かに開発リソースは限られているので、我々も確実に今、必要な機能だけに絞って要求するようにしよう。この先、たぶんいるだろうという機能は、今いらなければ全部、要求からはずすように整理してみよう。」

PM:「整理してもらえるなら、ありがたい。プロジェクトがうまく進むよう今後も皆で会議をして問題解決しながらすすめていきましょう。」

利用部門:「こちらもやり方が分からず、誤解していることも多いので意識統一をし、その分の時間を節約しましょう。必ず我々から1名は開発現場に出し、機能の確認や質問対応などができるようにします。」

うまく歯車が回転し始め、プロジェクトがすすみはじめました。開発が終わった機能は次々にリリースされ、利用部門で評価されますが、今いる機能を充足しているかどうかの観点から評価が行われ、以前のように、将来的にこんな機能もほしいという要求がなくなりました。

開発している間のビジネス環境の変化で、当初は想定していませんでしたが、必要となった機能については会議で協議し、追加、修正をしました。プロジェクトをすすめるにあたっては新しい課題がいろいろと巻き起こりますが、皆で知恵を出し合い解決していきました。

いよいよ高松城の水攻めが始まります。
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