コーチング/コーチング基本知識

なぜあなたの部下は動かないのか(2)アプローチ方法(2ページ目)

部下の行動を促そうと手を変え品を変えアプローチしているけれど、うまくいかない…。前回に引き続き、相手が「動けない」理由に合わせたアプローチをご紹介します。

平野 圭子

執筆者:平野 圭子

コーチングマネジメントガイド


サンドイッチする

たとえ自分が望んだことでも、いざ新しい行動を起こそうとするとき、人はさまざまな抵抗を覚えるものです。

特に次のような場合は、行動をついつい先延ばししてしまいます。
  • 客先に謝りに行く、苦手な相手にリクエストするなど、その行動をとるのに勇気が必要なとき
  • その行動を始めるのにおっくうな気持ちを抱いているとき
  • 行動を先延ばしにするくせがあるとき
  • 失敗や反論を恐れて、行動を躊躇してしまうとき
このようなとき、相手の行動をコミュニケーションで挟み込むことを「サンドイッチする」といいます。たとえば、「スタート」「行動」「報告・振り返り」という短いサイクルを繰り返すことで、その抵抗を打ち破ることをサポートするのです。このとき、行動の前後における励ましやアクノレッジメントも重要となります。

「サンドイッチする」ステップ
  1. 行動を起こす直前に話を聞く。今の気持ちを聞いて励まし、必要があれば「予行練習」をする
  2. 次にいつ連絡をとるのかについて約束をする(できれば行動の直後が望ましい)
  3. 相手が行動を起こした直後に、その結果について話し、アクノレッジメントし、必要があればさらなる行動を促す

    例:「取引先に交渉に行くのか。きっとうまくいくよ。終わったらすぐ電話してくれ。次のステップを検討しよう」

行動の後にはコミュニケーションを必ずとるようにしてください。約束をしたのにコミュニケーションをとらずに済ませてしまうことが続いた場合、サンドイッチは機能しなくなってしまいます。


小さな成功体験をつくる

成功!

成功がさらなる行動を促す

行動するためのエネルギーや自信をアップさせるという視点も重要です。
  • 大きいゴールを目の前にして半ばあきらめ気味のとき
  • 新しい行動やプロジェクトを始めたばかりのとき
  • 複雑な案件に何から手をつけていいかわからないとき
このようなときには、まず意図的に相手が短期間でやり遂げることができるゴールを設定し、達成させることを試してみましょう。小さな成功体験をさせることで自信やエネルギーを得させるのです。そうすることで行動を維持させ、大きなゴールを達成できるようにサポートしていきます。

「小さな成功体験をつくる」ステップ
  1. ゴールをいくつかの小さなステップに分けてリストアップする
  2. それぞれのステップのゴールと達成する期限を決める
  3. ステップのリストを活用し、一つずつクリアするたびにチェックをし、次のステップに取り組む

たとえば、
「この会話が終わってから、1時間以内にできそうな行動は?」
「今日中に達成できることは何ですか?」
というようにとにかく小さな成功を積み、それから上記のステップを改めて踏むのもよいでしょう。

ただ、このアプローチをする際には、小さな成功体験ばかりに意識が向き、大きなゴールを見失うような状況に陥らないように気をつけることが必要です。

いかがでしたでしょうか。

相手が動けないのはなぜか、その要因を探求し、次にその要因をクリアさせるようなアプローチを検討し、実行する。あなたにとっても、なかなかやりがいのあるチャレンジになるはずです。
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