東京の新しい名所「DAIKANYAMA T-SITE」
原宿に、代官山。アパレル・ファッション業界が集積する東京の街において、1日の始動はおよそ午前11時が定刻のようである。ところがいま、代官山の有る場所でちょっとした異変が起こっている。閑静な住宅街を再認識できる時間帯、午前8時の段階で、すでに200席ほどあるカフェが満席になるという現象が起きているのだ。大胆な開店時間もさることながら、ライフスタイルの変化を誘ったことに驚く。「代官山T-SITE」は2011年12月にオープンした商業施設。「代官山 蔦谷書店」を中心にレストランやペットショップ、キッズショップにサイクルなど暮らしに密着した店舗が揃う。1.1ha超の広大な敷地には、平置きの駐車場もたっぷりと取られていて、都心では珍しいゆとりを感じさせる空間だ。
冒頭のカフェは、中央エリアに位置する「IVY PLACE(アイビープレイス)」。緩やかな敷地のアンジュレーションをいかし、外周に屋外テラスを散りばめた落ち着いたスペースである。行き届いたサービスに、場所の割にはリーズナブルに設定された値段。コンセプチュアルな蔦谷の店内も話題となって、いまでは平日の昼間も大勢の人が訪れる、東京の新名所ともいえる施設になっている。
ウェリス代官山猿楽町
さて、その「DAIKANYAMA T-SITE」を見守るように立つマンションがある。本年(2013年)5月に竣工した「ウェリス代官山猿楽町」。上の画像を拡大してご覧いただきたい。マンションの前面にある「T-SITE」駐車場は東南側。日照の良さをイメージできるだろう。代官山の街は、ところどころ車道と歩道がともに窮屈な状況が少なくなく、人車すれ違いのたびにストレスを覚えるシーンが見受けられた。しかし昨今、団地や古い施設の建て替えなどのお陰で、十分な歩道を確保した場所も増えつつある。「T-SITE」はまさにその象徴のような施設で、「ウェリス代官山猿楽町」居住者はその恩恵に十分に授かることができる。マンションの地下に入り込むようにアプローチが設えられ、エントランスホールは要所にボイドの自然光が差し込む柔らかい空間(右の画像参照)である。
建物は、地上4階地下1階建(建築確認上は地上3階地下2階)。総戸数44戸。駐車場は52台用意されている。(来客用1台、福祉対応区画1台含む)設計・監理はNTTファシリティーズ、設計協力にアーキサイトメビウス。施工は鹿島建設が請け負った。竣工済(2013年5月)で引渡は10月下旬の予定。