私はあえて「北向き」をおすすめします。
それはなぜでしょうか。
都心のマンションは開かずの窓
高層階住戸の窓は、開けられない。
特に繁華街に建つマンションの窓はLow-Eガラスなどの複層ガラスが使用されます。これは断熱効果が高く、結露も防止でき、遮音効果もあるため、都心のマンションでは今や必須アイテムとなっています。
温度調節は、窓を開け、外気を取り込むことができないため、24時間、365日、空調機でコントロールすることになります。オフィスと同じですね。
東南角部屋は暑すぎる!
そうしたシチュエーションにおいて、最も人気のある東南角部屋に住んでみたとしましょう。朝早くから部屋にさんさんと太陽の光が差し込みます。しかもその光はようしゃなく午後3時まで角度を変え侵入し続けます。しかも一度入り込んだ太陽熱は、断熱効果の高い窓ガラスの向こうには逃げていきません。春・秋も冷房が必要。夏にいたってはカーテンは閉めっぱなしで24時間冷房はフル回転。といった暮らしが展開するのではないでしょうか。
私も一時、東向きの27階に住んだ経験がありますが、強烈な太陽光に直撃され、夏の耐え難さに驚いたものです。子どものころ、虫眼鏡に太陽の光を集めて、紙を焼く遊びをしたことがありますが、まさに複層ガラスはそのときの虫眼鏡と同じように感じました。
西向きに住む知人は、夏はこもった熱が少し収まる夜10時過ぎまでは、あえて帰宅しないと、言っていました。
こうして見ていくと、断熱効果が高く、温度は機械でコントロールされた都心のマンションで窓を開けずに暮らすなら、「北向き」が一番ではないでしょうか。
一日中陽の射さない「北向き」の室内環境こそが、1年を通じどの向きよりも快適といえるのではないでしょうか。
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