10年経った今も、分譲当時の価格で流通
都心の幹線道路「外苑東通り」。飯倉の交差点から六本木、青山一丁目、四谷三丁目を北上、曙橋(靖国通り)をわたって市谷仲之町の信号から、幅員が狭くなる。現在、拡幅計画中で、市谷柳町までは片側建物のセットバックがまもなく完了する様に見える。都営大江戸線「牛込柳町」駅の地上部にあたる辺りだ。起伏に富んだこの界隈の地形は、道も狭く入り組んでいて、土地に明るい人でなければ迷い込んでしまいそうだ。しかしながら、大通りから一旦横丁に入ると驚くほど閑静な住宅街が広がっている場合が少なくない。外苑東通りの西方、「市谷加賀町」などはその典型であろう。
加賀藩の御屋敷だったことに由来する南傾斜地の住宅街は、街区も規則正しく、じつに落ち着いた景観である。第一種低層住居専用地域ではないものの、高さ制限が15mに抑えられているため、空は大きく、街全体が明るい。もとより高台である。「市谷柳町」駅から徒歩5分ほどに、独特の風情を醸し出している「裏千家今日庵東京出張所」がある。その隣の「パークコート市谷加賀町二丁目」は築10年近くになるというが、現在の中古流通価格は分譲時と変わらない相場を保っているという。駅に近く、良好な住環境のマンションこそが持ち得る強みだ。
ザ・パークハウス市谷加賀町
さて、「パークコート市谷加賀町二丁目」の隣地にて、現在新たに分譲マンションが建設中である。三菱地所レジデンス売主の「ザ・パークハウス市谷加賀町」。地上5階建て、総戸数は34戸。徒歩圏の交通アクセスをすべて列挙すると、都営大江戸線「牛込柳町」駅から徒歩4分、同「牛込神楽坂」駅徒歩10分、都営新宿線「曙橋」駅徒歩12分、東京メトロ有楽町線・南北線「市ヶ谷」駅から徒歩16分、JR中央総武線・都営新宿線「市ヶ谷」駅から徒歩18分。現地標高は28m。「市ヶ谷」駅は同約20mであるため、駅に向かうのは楽だが、帰り(上り)は少々きついかもしれない。
外壁は、和を意識した(瓦色と言おうか)濃いグレーのタイルを縦に貼り合わせる。北側接道部は、区の「景観上重要な道路」にあたるため、ゆとりを持って緑を一面設けている。さらに、角地であることをいかし、シンボルツリーを回り込むような格好で車寄せを配した。花壇部に用いた凹凸の強い石垣、地面(アプローチ)に敷き詰めたピンコロ石、そしてエントランス壁面の天然石などが統一感を醸し出し、風格のある顔付きを演出する。
建物は内廊下設計である。専有面積は44.26平米~84.27平米だが、7月に分譲を開始し、現時点のホームページ上の概要では、64.13平米~84.27平米となる。価格は6,798万円~11,300万円。今年のGWから集客をはじめ、来場総数は300件弱。宣伝活動はほとんどしておらず、事前反響者への対応だけで手一杯だったとか。分譲価格は坪単価にして@358万円。「駅からの近さ」「環境の良さ」「内廊下設計である」「小規模ながら車寄せがある」などが評価されているよう。この手の小規模マンションは能動的にウォッチしないと出会えない物件のひとつかも知れない。
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