碑文谷(ひもんや)という地域
目黒区碑文谷。その地名の由来は、「碑文を彫った石のある里(谷)を意味するという説」をはじめ、諸説あるようだ。起源も室町時代やそれよりもさらに古いというのもあって、定かではない。が、江戸時代「碑文谷原」が鷹狩りに好適であったことから、その番所であったことが由来とする隣町「鷹番」などと比べれば、圧倒的に歴史の古い名称であることが伺い知れる(目黒区HP『目黒の地名』参照)。碑文谷は1~6丁目まで存在するが、目黒通り以南の1~4丁目と以北の5、6丁目ではやや街並みの印象を異にする。5、6丁目は、ボートで回遊を楽しめる「碑文谷池」があり、動物に触れることのできる「碑文谷公園」、旧第一勧銀グランドであった「碑文谷体育館・野球場・庭球場」(区民利用)など自然も豊富なほのぼのとした風景である。
かたや、1~4丁目は地域の中心に位置する「サレジオ教会」、語り継がれる「碑」を保存する「碑文谷八幡宮」、そして大型商業店舗「ダイエー碑文谷店」がある。クリスマスや結婚式が執り行われるときには教会周辺が賑やかに。夏の縁日、秋のお祭りには八幡宮に大勢の人が集まってくる。600台以上もの青空平置駐車場を有する「ダイエー碑文谷店」の集客力は凄まじく、同社の旗艦店として日々活況を呈している。街の景観そのものは低層家屋が多くを占める、一種独特の個性を有した街であるといえよう。
かつて碑文谷には3つのゴルフ練習場があった。最も有名なのが東急東横線沿いの「スイング碑文谷」(5丁目)である。設備の充実した、飛距離も出せる打ち放しとして人気がある。芸能人やプロスポーツ選手OBを頻繁に見かける施設としても知られている。90年代後半になくなったのは現在「プロスペアー碑文谷」(3丁目)という名のマンションになっている。住宅街にポツンと佇むこじんまりとした練習場であった。
そして、先頃もうひとつの「碑文谷ゴルフクラブ」(2丁目)が閉鎖した。「ダイエー碑文谷店」の斜め前(南東方向)で、駐車場入口に沿って有ったため、一度でも車で買い物に訪れたことのある人なら「ああ、あそこか」とわかるだろう。現在、来年(2014年2月)竣工に向け分譲マンションを建設中だ。「ブランズ碑文谷」(東急不動産)である。