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麿赤兒が語る『白馬舞踏合宿』(3ページ目)

舞踏家・麿赤兒率いる大駱駝艦の『舞踏合宿』。毎年夏、長野県白馬村で開催する合宿には、日本全国はもちろん世界中から参加希望者たちが集まります。彼らはどんな動機で参加し、何を得ようとしているのか……。ここでは、主宰の麿赤兒さんにインタビュー! 合宿の経緯と参加者たちの変遷、その狙いについてお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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Q:稽古をしていく中で、合宿生たちの様子に変化を感じることはあますか?

麿>初日、二日、三日と稽古をしていくと、だいたいみんな筋肉痛になるんですよ(笑)。シンドイなと思っても、集団から落ちこぼれたくないから、必死で頑張ろうとする。やったことがないことをやったとか、非常に小さなことですけど、そうしたことがだんだん自信になってくる。“オレ、頑張ってるな”とか、一生懸命になってるのを見ると、やっぱり微笑ましいよね。

“痛い”というのは、一種のアイデンティティ。大袈裟だけど、そういう意
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 指導にあたる大駱駝艦のメンバー

識の持って行き方というのはあると思います。“痛みも踊りなんだ、それが踊りの始まりなんだよ”、と言ったりして(笑)。痛いというのがどれだけ大事なことか、財産であるかいうことは、夜の講義でちゃんとフォローします。鋳型という意味では、痛い痛いと歩いてるのもなかなかいい踊りになる。それは、意識と身体の対話ということでもあって。これもひとつの表現なんだ、ある種の接点なんだってことが、本人の中で上手くマッチしてくれるといいよね。

何も身体哲学がどうだとか、難しい講義をしてる訳じゃない。今ある身体、痛くて足が動かないこと。これもひとつのポイント、ひとつの曲がり角だから。その中で身体を見ていく、認識していく。痛いとはどういうことか。簡単に言えば、生きてる証拠だってことになるんだけど。それが面白いと思えるか、そういう転換はあると思いますよ。

Q:これまで合宿中に何かハプニングが起こったことは?

麿>それはもう、細かいハプニングは沢山ありますよ(笑)。夏の暑いときだから脱水症状や熱中症になったり、金粉アレルギーや白塗りアレルギーになる人も出てきたりする。そのたびメンバーが医者に走らなきゃいけないんだけど(笑)。外国人も多いから、なかにはベジタリアンもいる。“カレーに肉入れないんだな、じゃあ僕たちで食べちゃおうぜ”なんて言ったりして(笑)。

いろんなことがあるから、シミレーションも年々高まっていきますよね。
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合宿生たちに栄養補給!とにかく大量なので大変です

脱水症状にならないように水を飲めとか、イチから教えたり。公演では火を使うから、火のおこし方から使い方、風向きで火がどうなるかまでボーイスカウトみたいに教えなきゃいけない。合宿生にとっては、またそこでモノとの対話がどういうことかもわかってくるだろうし……。

Q:麿さんや大駱駝艦のメンバーから直接講義を受け、一緒の舞台に立つ。これは合宿生にとって非常に貴重な経験になりそうです。

麿>それは僕らにとってもあって、素人には素人の面白さがあるから、お互いに盗みあう感じですよね。ああいう動きはどこから出てくるんだろうとか、こっちとしては素人の方が逆に興味深かったりする。
僕らが時間をかけて削ぎ落としてきたものがある訳だけど、それをもう一度見るというか、そこにもう一度行ってみる。テクニックとかメソッドで排除してきたものを、もう一度見直すっていうことはありますよね。排除してきたものの面白さというか、捨ててきたものをもう一度拾い直してみる。

そういう意味ではこっちも頂いてるものがある訳だし、向こうもまたウチの若いのなり僕なりを見てカッコイイと思う部分があるかもしれない。メンバーに“オマエたちが忘れてきたあの感覚は大事だよ、あれを意識していれば表現になるよ”と言うようなこともあるし。お互いに交換するものは多いと思います。

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 出演前の麿さんをパチリ!



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