管理職への昇進は不安? プレッシャーからうつや適応障害も

昇進の不安、管理職のプレッシャー…「昇進うつ」対処法

目指していたはずの昇進……待ち構えていたのはストレスの渦?

組織で働く人にとって、昇進は喜ばしいこと。「○年後には課長に、〇年後には部長に」「同期の誰よりも早く出世したい」など、輝かしい将来を目標にして頑張っている人も多いでしょう。
ところが、その憧れの役職を手に入れた途端に、思いがけずうつ症状が生じてしまう方もいます。これがいわゆる「昇進うつ」です。仕事が嫌なわけでも、職場との相性が悪いわけでもなく、自分の目標を実現することができたのに、どうしてうつ状態になってしまうのでしょう?

「昇進うつ」は、主に変化した仕事の質への不適応によって生じます。それまでは、下位の立場で上司の指示のもとに働いてきた人が、上司として急に矢面に立たされる立場になると、その責務によるプレッシャーや、抱える仕事の複雑さゆえに困惑してしまうのです。また、係長から課長、課長から部長というように階層が上昇していけば、背負う責任、抱える部下の数も増え、プレッシャーも大きくなります。
 

「昇進うつ」に陥る管理職や上司が抱えるプレッシャー・ストレスの種類

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ノルマ、板ばさみ、困難事例……上司の抱える荷は重い

こうした「昇進うつ」に結び付くプレッシャーやストレスの原因は様々ですが、次のようなものが挙げられます。

・部下の指揮をとり、リーダーシップをとることへの戸惑い
・扱いにくい部下が多く、思う通りに言うことを聞いてくれない
・チームをまとめつつ、自分自身の業績も伸ばす必要性
・チームの責任をとらなければならないプレッシャー
・責任者として困難な仕事、トラブル事例に介入する機会の多さ
・上層部と部下との間に立ち、板挟みになりやすい
・業務時間が長くなり、残業が増えてしまう
・仕事量が増えているのに、期待ほどには収入が増えない

昇進してしばらくの間は、昇進への喜びや気負い、期待などから興奮が続き、頑張れる人が多いようです。しかし、ストレスが解消されないまま持続すると、心が摩耗し、疲労が蓄積されてしまいます。

その結果、適応障害やうつ病などの心の病に陥ってしまう人も少なくありません。厚生労働省の「患者調査」でも、40代、50代という「マネジャー世代」に、うつ病や躁うつ病などの気分障害の患者数が多く、この世代の解消しにくいストレス状態が表されているように思います。
 

管理職が知っておきたい「昇進うつ」予防・対策のための3つのヒント

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肩の力を抜いて「自分らしい上司」でやっていきませんか?

昇進は、今までの業績が評価され、責任のある仕事を任せられる人物だと期待されている証拠です。このチャンスを無にしないためにも、昇進に伴うストレスを上手にコントロールしていく必要があります。

「昇進うつ」は、気まじめで融通が利かず、人に頼れないタイプの人に生じやすいと言われます。「上司は○○でなければならない」「1年目からこのくらいの成果を出さなければ」というように、ステレオタイプな上司像に囚われてしまうと、昇進うつに近づきやすくなってしまいます。人に相談できず、自分だけで責任を抱えようとする方も要注意です。

性格を変えるのは難しいものですが、少し意識を変えるだけで楽に取り組めるかもしれません。では、どんなことを心がけていけばいいのでしょうか? 次の3つのヒントをお伝えしたいと思います。

1. 厳しい中にも悠然と構える
チームをまとめ、部下を動かすには、「完璧な上司」を目指す必要はありません。むしろ、細かいことにこだわりすぎず、大らかさがある方が部下はのびのびと行動できます。そして、チーム内が和やかになり、コミュニケーションが進んでパフォーマンスが上がりやすくなるものです。

ただし、ゆるみっぱなしではチームの統制がとれず、部下の目的意識も散漫になります。規則やマナーを守らせ、締めるところはきちんと締める、その上でゆったり構えて部下に任せられるところは、信じて任せる。こうした、厳しい中にも悠然と構えられる上司像を目指してみましょう。

2. 上司経験者のコンサルテーションを受ける
「上司は1日にしてならず」――誰でもすぐに、立派な上司になれるわけではありません。どんなに偉大な業績を残したリーダーも、人の上に立つ者として戸惑い、恥をかき、人には言えない失敗を繰り返してきているはずです。そうした「上司経験者」に、ぜひコンサルテーションを受けてみましょう。

難しく考える必要はありません。同じ組織に適当な人がいなければ、プライベートで出会った人でもいいでしょう。人の上に立つことの苦労には共通するものがあるでしょうし、経験者同士、共感できる部分があるはずです。きっかけはグチでもいいでしょう。感じていることを上司経験者に打ち明けると気持ちが楽になるでしょうし、解決のヒントも見つかるものと思います。

3. 本音で接し合える職場にする
働く人の心には、仕事上の何らかの目標があるはずです。「家族のため」「夢の実現のため」など、プライベートとリンクしたそれぞれの思いもあるはずです。ランチ会や飲み会を開くなら、そうした本音を語りあい、お互いの「働く意義」を高め合う機会にしてみましょう。

最初は、白けて語りたがらない人が多いかもしれません。とはいえ、本来は誰でも本音で語れる場を求めているもの。ときには、自分自身から本音を伝えることで、部下が「ここでは本音を語ってもいいんだ」と思える雰囲気を作ってもいいでしょう(ただし、発言は無理強いしないようにしましょう)。

上司がありのままの自分で接すれば、組織のコミュニケーションが向上していきます。すると、信頼関係が生まれてチームワークが向上し、結果として皆が一丸となって、チームの仕事に気持ちを向けることができるものと思います。

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