口座開設予約が既に始まっています
平成26年から、NISA(少額投資非課税制度)が始まります
証券優遇税制は、平成23年度税制改正で平成25年末まで延長されることになりましたが、再延長はしないことが決定しました。これにより、平成26年からは、上場株式等の譲渡、配当が原則税率である20%に戻ることになります。その代わりとして、「少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置」が平成26年から導入されることになりました。いわゆる日本版ISA、「NISA(ニーサ)」です(以下、NISAとします)。
さらに、平成25年度税制改正において、NISAの拡大が決まりました。当初導入予定だった制度は、平成26年からの3年間に行われる投資だけを対象とする時限措置となっていましたが、期間を10年間に延長するなどの改正が行われました。
NISAの口座開設手続は、平成25年10月1日から始まりますが、既に証券会社等が顧客囲い込みのため、口座開設予約を受け付けています。
メリットとデメリット
NISAとは、おおまかには少額投資非課税口座で上場株式や株式投資信託等を購入すると、本来20%が課税される配当金や売買益等が非課税となる制度で、概要は以下のようになっています。- 非課税対象……非課税口座内の少額上場株式等の配当、譲渡益
- 非課税投資額……毎年、新規投資額及び継続適用する上場株式等の時価の合計額で100万円を上限(未使用枠は翌年以降繰越不可)
- 非課税投資総額……最大500万円(100万円×5年間)
- 口座開設期間……平成26年1月1日から平成35年12月31日までの10年間
- 保有期間……最長5年間、途中売却は自由(ただし、売却部分の枠は再利用不可)
この制度のメリットは、配当所得や譲渡所得等に課税される20%の税金が非課税になる点です。さらに、上限が課されているのは、投資額に対してのみですので、非課税金額自体には上限がありません。
例えば、この制度を使って、100万円×5年=500万円で上場株式に投資をした場合、その株式が1,000万円に値上がりしても、2,000万円に値上がりしても、売却益は全て非課税となります。
また、保有期間は最長5年間とされていますが、その期間を超えても、実質的には引き続き非課税口座で保有し続けることができます。この場合には、5年間の保有期間終了時点等の時価で、翌年1月1日に新たに購入したものとして、翌年分の非課税投資額に充当することができます。ただし、充当できるのは非課税投資額である100万円までですので、それを超えた分については、非課税口座に受け入れることはできません。
NISAのデメリットは、譲渡損失が発生した場合の取扱いです。上場株式等の譲渡損失については、通常は、株式等に係る譲渡所得等の金額や上場株式等に係る配当所得等の金額(申告分離課税を選択した場合に限ります)と損益通算することができます。
ただ、このNISAで管理している上場株式等については、譲渡益が非課税になる代わりに、譲渡損失が発生しても、損益通算の対象となりません。また、上場株式等の譲渡損失の繰越控除の対象にもなりませんので、その点には注意が必要です。
また、NISAが適用できるのは、原則、証券会社等を通じて新たに購入した上場株式等が対象となります。既に他の特定口座や一般口座で保有している上場株式等を、NISAの非課税口座に移すことはできません。
非課税投資額は、総額で100万円×5年間=500万円の枠がありますが、非課税枠を使い切らずに余ったとしても、翌年への繰越はできません。同様に、途中で売却したとしても、非課税枠の再利用は認められません。
口座は、1人1口座が原則
非課税口座の開設は、平成25年10月1日から開始され、同一の勘定設定期間内は、1人につき1口座の開設が原則となります。最初の勘定設定期間は、平成26年1月1日~平成29年12月31日までとなっていますので、一度非課税口座を開設すると、平成30年までは、新たな非課税口座の開設や、口座の変更が認められません。実際に非課税口座を開設するためには、非課税適用確認書と非課税口座開設届出書を証券会社等に提出しなければなりません。手続きには、本人確認書類や住民票の写しなどが必要となります。
なお、非課税口座で保有する上場株式等の配当等でも、証券会社経由で支払われないものについては非課税とはなりませんので、配当の受取方法を「株式数比例配分方式」(証券会社の口座に入金される)にしておく必要があります。