『New Normal』で見えてくる新しい家族のカタチ
左がブライアン、右がデヴィッド。幸せに暮らすゲイカップルです。
アメリカではTVの30分コメディ(シットコム=1話完結のシチュエーションコメディ)が熱狂的な人気で、各局が競り合っている状況ですが、このジャンルに力を入れたいNBCが『glee』のライアン・マーフィに依頼し、『The New Normal』の制作が昨年初頭、発表されました(詳しくは
こちら)
そして昨年秋の放送スタート直後から早くも人気が高まり、シーズン途中で製作話数の追加が決定。また、2013年のピープルズ・チョイス・アワードで『お気に入りの新コメディ』に選ばれ、GLAADメディア賞では最優秀コメディ・シリーズ賞に輝きました。
このヒットを受けて日本でもさっそく放送が決まり、FOXチャンネルで『New Normal おにゅ~な家族のカタチ』というタイトルで4月18日から第1話がスタートしていました(現在第5話くらいまで放送されています)
シャナイア超ラブリー! こんな子がいたら幸せに暮らせそう♪
『New Normal』は、LAに暮らすブライアン(TVプロデューサー、ちょいオネエ)とデヴィッド(産婦人科医、実直なキャラクター)のゲイカップルが主人公。経済的な余裕もあり、カップルとしても幸せに暮らしていますが、子どもがほしい!とブライアンが言い出し、代理母にお願いすることに……というのが第1話です。何人もの代理母候補の中から選ばれたのが、ゴールディという若くて美しい女性。彼女は、浮気ばかりしている夫と保守的な母親に愛想をつかし、一人娘シャナイアを連れてオハイオから家出してきたのですが、その身の上にシンパシーを感じ、またシャナイアのかわいらしさ(かなり変わった子で、見た目は『
リトル・ミス・サンシャイン』の女の子みたいな感じ)を気に入ったのでした。無事に妊娠もうまくいって、4人の幸せな共同生活が始まります。
これはまだ放送されてない回の1シーンですが、とても面白そう♪
ゲイカップルが主人公ではありますが、ゲイであること自体はことさら面白おかしく描かれているわけではなくて(当たり前で)、オトコに飢えたゴールディが子持ちのバツイチであることを隠して若いイケメンにモーションをかけたり、娘のシャナイアがヘンテコな行動をしたり(毎回何かやらかしてくれます)、ゴールディたちを連れ戻そうとLAにやってくる母ジェーンのゴリゴリの差別主義者っぷりに周りがドン引きしたり、むしろノンケ家族の方が面白おかしく描かれているところが面白いです。
そしてこの『New Normal』、コメディとしても秀逸です。ゴトウがまずやられたのは、第2話でシャナイアが『
グレイ・ガーデンズ』のTV映画を観てリトル・イディみたくスカーフを頭に巻いた格好で家の中を走り回るシーン。ゲラゲラ笑いながら、なんてラブリー!こんな子どもほしい!って思いました。油断してるとコーヒーを吹きそうになる、そんなシーンが随所にちりばめられています。
そういう中で、すでに解体しかかってる家族の愛とか絆を再構築するために必要なのは、伝統的家族観の押しつけではなくゲイカップルが象徴する新しい家族観なんじゃないの?という「新しいフツー」を浮かび上がらせているのです。