輪音undefinedrinne

輪音 rinne 
2011年 寿司桶、樹脂、アクリル絵具


「日本人は金魚であり、金魚は日本人である」

金魚について熱く語る深堀さん

日本古代史についても熱く語る深堀さん

深堀さんは、日本史、特に日本古代史にも深い興味があるという。愛知県の実家近くでは銅鐸が出土し、通っていた小学校には小さな古墳があった。古墳に初めて登った際に感じた高揚感は、今でも忘れられないと語る。また、「小さい頃よく行っていたお婆ちゃんの家が島根県の出雲にあり、地域的にも日本神話の世界にも親しみを持って育った」。深堀さんが日本古代史に興味があることと、金魚をテーマとして表現する理由は密接に繋がっている。

「ちょっと変だと思われるかもしれませんが、僕は『日本人は金魚なんだ』、『金魚は日本人なんだ』と思っているんです。金魚の歴史と日本人の歴史には似たようなところがあって、日本人は金魚すくいをしながら自分たちを投影している側面があると思うんです。中国の金魚は奇抜で、日本の金魚は形も感覚も違うんですけど、日本人は金魚をみて、我々日本民族を感じている部分があるのではないかな。関西では、和金のことを『ヤマト』と呼んだりもしますよね。それが僕が『金魚救い』の時に感じた『自分を見た』というのに通じている。日本人である自分というものを表現するために、金魚を描く。それが金魚をずっと描き続けている理由でもあります」

アートパフォーマンスをする深堀さん

アートパフォーマンスをする深堀さん

また、日本古代史に興味があり、金魚をテーマに扱う美術作家・深堀さんならではの古墳に関する興味深い視点も語られた。それはこれから作る作品のテーマにもなるのだという。「公表は今は勘弁して下さい。内容を知りたい方は、展覧会などで僕に直接聞いてみて下さい」。新たな表現に挑戦し続ける深堀さんは、これから私たちにどんなものを見せてくれるのだろうか。


被災地・福島での創作活動を通じて伝えたいこと

「金魚の作品を通じて人を癒せれば」と語る深堀さん

「金魚の作品を通じて人を癒せれば」と語る深堀さん

近年、深堀さんは東日本大震災で大きな被害を受けている福島で個展を開いたり、被災された家で金魚の絵を描くなど、被災地においても精力的な活動を行っている。横浜市にある金魚養画場と名付けられた深堀さんのアトリエには、福島県相馬市の養魚場で買ったというキャリコ(琉金)が大きな金魚鉢の中を泳いでいた。

「昨年の4月、福島のお寺から福島で個展をして下さいと呼ばれてからのお付き合いなんです。震災の後の津波の他に、福島は原発という大きな問題を抱えていて、放射能の問題はもちろん、福島に残った方、出て行った方、それぞれ複雑な問題を抱えていらっしゃる。それに対し僕に何ができるかというと、金魚の絵を描くこと以外、何もできないんです。ただ、人間のエゴで作った原発から出ている放射能はみんなを翻弄しますが、同じ人間のエゴで改良して作られた金魚は、みんなを癒してくれます。だから、僕の金魚が少しでも誰かの役に立てればと思っています」


作品を通じて「愛でる」という日本の文化が伝播して欲しい

ドイツでライブペイント中の深堀隆介さん

ドイツでライブペイント中の深堀隆介さん

今後もニューヨークなど海外での個展を控えているという深堀さん。これからの金魚作品を通じた夢についても語って頂いた。

「海外での個展が多くなってきているので、海外の人にもこういう日本人がいるんだということを、より知ってもらいたいですね。僕の技法は、日本から生まれた日本の文化の一つだと思っているので、この日本文化をもっと世界に知らしめていきたいです。一つの目標としては、例えばブラジルの駅に僕の金魚の絵が描かれていたり、世界の様々なところに僕の金魚が泳いで行って欲しいと思っています。NASAのロケットに僕の金魚を描いて宇宙まで行って欲しいという壮大な夢もあります(笑)」

「あと、僕の金魚(作品)を観てくれる人に対しては、見て楽しんで純粋に愛でて頂ければと思っています。『愛でる』ということはすごく良い言葉で、盆栽などにも通じる心ですが、日本の文化の一つだと思うんです。僕の作品を楽しんでくれて、かつ、大切にしてくれて、作品を通じて『愛でる心』が伝播していってくれれば良いなと思いますね」

最後に「深堀さんにとって金魚とは何か」を尋ねると、少し考えた後、こう答えてくれた。

「難しいですね。本当に言葉では言い表せない。つかもうとしてもつかめない、追いかけては逃げていくような存在かな。金魚とは何か、逆に僕が教えて欲しいです」


>>深堀隆介さんインタビュー(1ページ2ページ、3ページ)
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