国立劇場前で思想にふける、国民的作家アレクシス・キヴィの銅像
背後にある国民劇場では、これまでアレクシス・キヴィの作品も何度も上演されてきた
現在ヘルシンキ中央駅そばの国立劇場の正面にそびえ立つ、黙思するようなシリアスな表情のキヴィの銅像は、前世紀フィンランドを代表する彫刻家であったヴァイノ・アールトネンの手によって1939年に完成し、キヴィの誕生日である10月10日に公開されました。アールトネンは各地にいくつかのキヴィをモチーフとした像を残していますが、その作風はまったく異なります。劇場前にある最大の像では、フィンランドの彫刻界で1920年から30年代にかけて流行った写実的でクラシカルな表現に徹してあり、キヴィの表情は、彼の友人が死の床でスケッチしたものをもとにしたと言われています。像の下方にはキヴィの作品の場面を抜粋したレリーフも象られています。
■設置場所:国立劇場の正面口
■アクセス:ヘルシンキ中央駅東出口すぐ
彫刻家の父がモデルに抜擢した、若かりしトーヴェ・ヤンソンの像
この像のモデルとなっていた若き日のトーヴェ・ヤンソンは、芸術家の両親に囲まれてどんな自身の未来を思い描いていたのだろう
というわけでこの像自体は、後のトーヴェの活躍ぶりを称える記念碑としてではなく、あくまで愛娘を題材にした芸術作品として、1931年にヘルシンキ市の招致を受けてつくられたもの。ヴィクトルは当時、若い少女を主題とした作品に幾度か取り組んでいて、この作品にはセイヨウヒルガオの学名である『Convolvulus(コンボルブルス)』という表題がつけられています。
芸術肌の父(そして彼女の母もまた画家でした)を見て育ったトーヴェの活躍は、日本でもよく知られているところですね。もとは小説家というより画家・挿絵画家としての活動が中心でしたが、第二次世界大戦で失意に暮れるさなかに、友人から「子供に読み聞かせできる絵本を」という要望に応えて書き上げたのが、ムーミンシリーズ処女作『Muumit ja suuri tuhotulva(小さなトロールと大きな洪水)』だったのです。
■設置場所:カイサニエミ公園(Kaisaniemen puisto)内、国立劇場裏手すぐ
■アクセス:ヘルシンキ中央駅から北へ徒歩約3分
最終ページでは、国民的作曲家と伝説の英雄ランナーを称えるユニークな記念碑を紹介!