愛国心を美しい調べに託した作曲家、シベリウスの記念像がある公園

シベリウス公園

自己追求心が強く、とくに晩年は深い葛藤や自己批判のなかに身を置いていたシベリウス。その険しい表情がモニュメントにも表わされている

フィンランド屈指の作曲家として名の知れるジャン・シベリウス(Jean Sibelius/1865-1957)は、ハメーリンナで生まれ育ったのちにヘルシンキに上京して音楽の勉強を積み、厳しい自己批判や追求心によって、その類まれな才をみずから開花させてゆきました。

彼もリョンロットの出版した『カレヴァラ』に強く感化された芸術家のひとりで、説話中の場面や登場人物を主題とした作品を数多く残しているほか、民族鼓舞の主題をダイレクトに込めた交響詩『フィンランディア』は、第二の国家と称賛されるほどあまりに有名です。また、とりわけフィンランドの清澄な自然世界から得たインスピレーションを音に紡いでいくことに腐心していたシベリウスの音楽からは、一口にクラシック音楽といっても欧州の王道国から輩出された作曲家たちとは一風異なる、特有の清らかさや美しさ、凍てつく冬の厳しさや冷たさなどが感じられると、世界中にコアなファンを抱えています。

名実ともにフィンランドの国民的作曲家にふさわしいシベリウスの功績を称え、市内西沿岸に広がる緑豊かな公園はシベリウス公園と名付けられて、海を見下ろす小高い丘に2つの大きな金属製モニュメントがつくられました。1つは、ややしかめっ面をしたリアルなシベリウスの顔面彫刻、もう1つは森の樹を思わせるパイプの集合体による抽象作品。どちらもエイラ・ヒルトゥネンという女性アーティストの作品で、シベリウスの死からちょうど10年後に公開されました。

■設置場所:シベリウス公園(Sibeliuksen puisto)内
■アクセス:ヘルシンキ中央駅から北西方向に徒歩約25分、トラム3T,4,7,10「Töölön halli」下車徒歩10分


オリンピック史を揺るがせたルーキーランナー、パーヴォ・ヌルミの像

パーヴォ・ヌルミ

敷地内には、かつてのオリンピックで伝説的なメダル記録を打ち立てた陸上選手パーヴォ・ヌルミの記念碑は、夢舞台ヘルシンキ・オリンピック会場敷地内に設置された

パーヴォ・ヌルミ(Paavo Nurmi/1897-1973)は、伝説的な中距離ランナーとしてその名をスポーツ史に刻む、20世紀前半に活躍したオリンピック代表選手。1920年のアントワープ大会、1924年のパリ大会、1928年のアムステルダム大会に中距離走やクロスカントリーのフィンランド代表選手として出場し、なんと総計金メダル9個、銀メダル3個という驚異的なメダル数を獲得! また次々に当時の世界記録も樹立させたことで、全世界から大いに注目されました。栄えある1952年のヘルシンキ・オリンピックでは、最終聖火ランナーも務めています。

そんな英雄ランナーを称える記念碑は、ヘルシンキ・オリンピックのメイン会場敷地内に誇らしげに設置されています。今も颯爽と街を駆け抜けていくかのような躍動感あるランナーの銅像は、1924年のパリ大会直後に、政府が彫刻家ヴァイノ・アールトネンに制作を依頼したもの。実は当初はヌルミを人物モデルとする予定でしたが、その後ヌルミとアールトネン自身が話し合い、この像を「フィンランド人ランナーの記念碑」とするために、像の人物モデルはあくまで象徴化することに決めたと言います。

■設置場所:ヘルシンキ・オリンピックメインスタジアム(Olympiastadion)そば
■アクセス:ヘルシンキ中央駅より徒歩約30分、トラム4,7,8,10「Ooppera」下車徒歩2分
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