鉄筋コンクリート造マンションの耐震性の判断は難しい。
鉄筋コンクリート造の大規模なマンションともなると一般の人には非常に判断が難しいところではありますが、今回は「プロの耐震診断を受けるか受けないか」、その一つの目安となる「鉄筋コンクリート造建物の耐震診断フローチャート」をご紹介いたします。
「安全」「診断をおすすめ」「診断が必要」の3段階に分類
このフローチャートは一般社団法人 日本建築学会がホームページで公開しているもので、RC造(鉄筋コンクリート造)のマンションなどを対象として簡易な耐震診断をすることができます。「START」から始めて建物の状態に合わせて矢印の方向に進んでいくと、「安全と思われます」「診断をおすすめします」「診断が必要です」の3つのいずれかに分類されます。それではさっそく鉄筋コンクリート造マンション 耐震診断フローチャートの中身を上から順に見てまいりましょう。
建設年代、ピロティの有無でまず振り分け
【表1】のフローチャートをご覧ください。「START」から始まって、まずは建設年度(※1)で振り分けされます。1981年以降に建てられたものであればその後矢印にしたがって進み、ピロティ(※2)がなければ「安全と思われます」に進み、終了です。建物の建設時期と耐震性の関係や、ピロティ形式の建物については以下の関連記事にて詳しく解説しています。注:文中の(※1)は【表1】の(※1)と適合。以下同)
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1981年以前の建物のチェック事項
1981年以前に建てられた建物の場合でも、即「診断が必要です」に分類されるわけではありません。フローチャートに沿って進み、いくつかの条件をクリアしていけば、古い建物でも「安全と思われます」という簡易診断が下ります。それではこれからクリアすべきいくつかの条件を見てまいりましょう。チェック項目:地形(※3)
建設年度で1980年以前に該当する場合は矢印下方向に進み、次の「建物の建つ土地の条件(=地形」)をチェックします。平坦な土地であれば「良好」と判断し次のチェック「経年変化」に進みます。しかし傾斜地に建つマンションや埋め立て地、元々沼地であったなど、地盤が緩い可能性がある場合は「悪い」に進み、ここでチェックは終了で「診断が必要です」に分類されます。建物の地盤については以下の関連記事で詳しく解説しています。【関連記事】
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チェック項目:経年劣化(※4)
地形が良好であれば次のチェック「経年劣化」に進みます。【表1】の※4の部分です。ここでは建てられてからどの程度劣化が進んでいるかどうかをチェックします。ほとんど劣化がない場合は「小」を選択して次のチェック項目「構造種別」に進みますが、もし土地が地盤沈下を起こしている・建物が不同沈下を起こしている・大きなひび割れが見られる・外壁のタイルなどが剥離しコンクリートの中の鉄筋が見えている、といった大きな劣化が見られた場合は「大」に進み、ここでチェックは終了となり、「診断が必要です」となります。建物の経年劣化については下記の関連記事で詳しく解説しています。【関連記事】
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