フィンランド/ヘルシンキの観光・お土産

文化&アート施設の宝庫、マンネルヘイム通り(4ページ目)

マンネルヘイム通り(Mannerheimintie)は、国会議事堂や国内随一の百貨店などが建ち並ぶ、ヘルシンキ中心街の目抜き通りのひとつ。実はその通り沿いには、フィンランドの芸術・学術文化を支える由緒ある博物館や美術館・音楽ホール・かつてのオリンピック会場などが密集しているのです!トーロ湾沿いの緑地公園帯にも接していて散策が楽しい大通りを歩きながら、フィンランド屈指のアート・文化施設巡りに繰り出してみませんか?

こばやし あやな

執筆者:こばやし あやな

フィンランドガイド


古代史から民族文化まで、フィンランドの軌跡を学ぶ国立博物館

国立博物館

教会のような尖塔が目立つ国立博物館。入口階段には、森の主として崇められてきた熊の像が

フィンランディア・ホールのすぐ向かいにそびえ立つ、尖塔を持った教会のような大規模な建物が、フィンランド学術文化の中心である国立博物館(Suomen Kansallismuseo)。

国立博物館内観

エントランスロビーの頭上には、カレヴァラ神話のエピソードなどをモチーフとした迫力ある天井画が描かれている

独立に向けてさまざまな芸術分野で民族回帰の機運が高まっていた20世紀初頭には、フィンランド建築界でもやはりナショナル・ロマン主義が流行していました。国立劇場同様、まさにこの国の中世の城や教会の姿を思わせる建築は、ヘルマン・ゲセッリウスやエリエル・サーリネンなど、国内の一流建築家たちが手がけたもの。建物は1910年に完成し、フィンランド独立前年の1916年に一般公開が始まりました。

館内に入ると、民族叙情詩カレヴァラなどをモチーフにした印象的な天井画が出迎えてくれます。館内にはなんと50万を超える収蔵品があり、考古学見地から見るフィンランド古代史に関する展示に始まり、中世・近世の教会の部分的移築が鑑賞できる空間、地域による民族衣装や民芸品の比較、20世紀の人々の暮らしぶりの変遷など、さまざまな角度からフィンランドの今と昔の姿を見知ることができます。館内はとても広く順路も複雑なので、じっくり見て回るなら少なくとも2~3時間の余裕が必要でしょう。

<DATA>
Suomen Kansallismuseo(スオメン・カンサッリスムセオ)
住所:Mannerheimintie 34, 00100 Helsinki
TEL:+358 40 128 6469
アクセス:ヘルシンキ中央駅より徒歩15分、トラム7,4,10「Kansallismuseo」下車すぐ
開館時間:火~日曜11:00~18:00
休館日:月曜日
入場料:8ユーロ(学生6ユーロ、18歳以下無料) ※毎週金曜の16:00以降は入場無料

バレエから歌劇までを堪能、豪華絢爛な国立オペラ劇場

オペラ劇場

外観はシンプルな白いモダン建築。中には4階席まである立派な円形劇場が収まっている

国立博物館を後にして、さらにマンネルヘイム通りの北上を続けると、トラム8番の走るヘルシンキ通り(Helsinginkatu)との交差地点に見えてくる白い建物が、フィンランド・オペラ劇場(Suomen Kansallisooppera)。1993年にオープンした現在の建物の外観はモダンでシンプルな印象ですが、中には4階席まである豪華な円形劇場が収まっています。

演目は、オペラや歌劇からモダン/クラシック・バレエまでさまざまで、劇場でのお芝居よりは、言葉がわからずとも見て聴いて楽しめるものも多いはず。劇場専属のオーケストラやバレエ団があり、オーケストラ・ピッドが見下ろせる席からは、生演奏の様子もうかがえます。劇場のすぐ裏手には、トーロ湾岸の美しい緑地公園が続いていて、夜の長い季節の終演後は余韻に浸りながら涼むのにもぴったり。

アクセス:ヘルシンキ中央駅より徒歩約25分、トラム4,7,8,10「Ooppera」下車すぐ
※フィンランド・オペラ劇場の公式サイト・公演案内はこちら

終着地は、栄光のヘルシンキオリンピックの会場跡地

オリンピック会場

入口に五輪マークの残る、白い長身タワーが会場のシンボル。スタジアムの一部は現在ユースホステルとして利用されている

オペラ劇場を過ぎるとまもなく右手に見えてくる、円形スタジアムやタワーのそびえる広大な一角こそが、1952年夏に開催されたヘルシンキ・オリンピックのメイン会場(Olympiastadion)。

パーヴォ・ヌルミ

敷地内には、かつてのオリンピックで伝説的なメダル記録を打ち立てた陸上選手パーヴォ・ヌルミの記念碑が立っている

もともとヘルシンキは、1940年の夏のオリンピック招致に成功していて、螺旋階段を広げたようなユニークな形状のメインスタジアムも、1938年には完成していました。ところが、世界大戦開戦によりこのオリンピックは開催中止に。その後、敗戦国となり内戦も続いて混乱を極めていたフィンランドは、なんとかオリンピック開催を契機に経済復興を遂げようと再び招致に乗り出し、アメリカの諸都市などを押しのけて念願の開催権を再得したのでした。

事実、戦後まもなくのオリンピック開催は国民に活気を与えただけでなく、敗戦国としての賠償金を完済してしまうほどの経済効果をもたらし、混迷期のフィンランドに高度経済成長の機運をもたらしたのでした。ヘルシンキオリンピックがきっかけとなって誕生したカクテルについての話題はこちらから。

敷地内にあるスタジアムは、現在も競技会やイベントに利用されるほか、建物の一部はスポーツの歴史を伝えるミュージアムや、レストラン、世界からのバックパッカーが集うユースホステルとしても活用されています。また、シンボル的存在である全長72メートルの白亜のタワーは、エレベーターで最上部まで上ることが可能。展望スペースから見渡すヘルシンキの眺めは圧巻です。

アクセス:ヘルシンキ中央駅より徒歩約30分、トラム4,7,8,10「Ooppera」下車徒歩2分
※オリンピック・スタジアムの公式サイトはこちら

■スタジアム内タワー展望台エレベーター
営業時間:月~金曜9:00~21:00、土曜・日曜9:00~18:00
入場料:5ユーロ

※上記データは記事公開時点のものです。
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