悩ましい花粉と大気汚染
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花粉対策の基本は、マスクの着用と付着しにくい衣服を選ぶこと。そして、帰宅時には身体に付いた花粉などを室内に極力入れないよう、玄関前で払い落すこと、とサイトなどに書いてある。これを聞いて思い出すのは、日本綜合地所の花粉対策マンションだ。
エントランスの風除室の一画に、電話ボックス程度のスペースのエアシャワーコーナー(医療機関における「クリーンルーム」と同様の概念を用いた空間)を設け、建物に入る前に花粉を吹き飛ばして自宅へ戻るという仕組みだ。日本綜合地所はリーマンショック後、経営破綻に陥り、現在は大和地所グループの傘下に入り、引き続きマンション供給をしている。いまでも花粉対策設備は継続しているのだろうか。
花粉、大気汚染に対応できる高級マンション
現在、新築住宅には24時間換気が義務付けられている。マンションの場合、最も多い設備(自然給気、機械排気)は、壁などに「手動で開け閉めを行う孔」のあるタイプ。そこから新鮮な空気を入れ、機械で排気し、室内の空気を常に新鮮に保てるというものである。しかし、外の空気に悩まされている以上、そのままの状態で入ってこられては困る。一旦フィルターで除去しながら機械給気する設備もあるが、最初から機械給気でない限り、簡単には切り替えられそうにもない。その場合は自分で孔にフィルターを取り付けるなどの対処が必要だ。(「花粉、黄砂、PM2.5のトリプルパンチ対策:住宅編」参照)
機械給気もさることながら、窓を開けずに年中快適にいられるマンションはないものか。つまり、エアコンを長時間稼働させることを前提にした、ホテルのような設備を導入している例だ。多くはないが、ないわけではない。「みなとみらいなどの地域冷暖房システムを完備したエリアにあるマンション」、または「オフィス併設の複合ビルディングのなかのマンション」など。そして、もう一つの選択肢が「戸別に完結できる全館空調システム」を搭載した高級マンションである。
三菱地所の「エアロテック」搭載マンション
三菱地所グループの注文住宅「三菱ホーム」は「エアロテック」と名付けられた全館空調システムが特徴。空調機器は三菱電機が製造している。24時間365日、電源を入れたままにするという、まさにホテルのような環境を自宅で味わえる設備だ。一見、電気代がかかりそうなイメージがあるが、家全体を1台の空調器で賄うため、「入」と「切」を繰り返すより点けっ放しのほうが負担が小さいという。この設備を三菱地所のマンションに導入した例がいくつかある。「パークハウス南平台」「元麻布パークハウス」「パークハウス吉祥寺オイコス」など。エアロテックは自然給気ではないため、花粉をシャットアウトした状態で、換気と空調双方を効かせることが可能だ。
マンション業界は、そのときどきの社会問題や自然災害に対する不安を新しい技術や提案で払拭することを、つねに試みてきた。セキュリティの強化や構造のグレードアップ、防災対策の強化などはその典型といえるだろう。花粉はもとより、PM2.5は短期的には増えることはあっても減りそうにはない気配だ。年中快適な空間はどうあるべきか。大気汚染は、新たな問題提起ともいえそうだ。
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