しっかり食べる事で日本人の寿命は延びた
日本人の平均寿命は戦後延び続け、世界的にとても高くなっていますが、これは肉・魚・卵・乳製品などの動物性食品の摂取量が増え、たんぱく質・ビタミン・ミネラルの摂取量が増えた事が大きく関係していると考えられています。今の日本では、おかずがしっかりしているので、栄養素の欠乏で命を落とす人はいませんが、戦前は、ビタミン不足の病気(脚気)で多くの人が命を落とすほど、栄養が欠乏しがちでした。
低カロリー=健康食ではない
健康食というと、低カロリーのさっぱりした食事だと思っていませんか? しかし、さっぱりとした粗食では、肉・魚・卵・乳製品などの摂取量が減りがちで、栄養不足に陥りやすくなります。 例えば肉や魚に含まれるビタミンB群には、認知機能など頭や精神にとても大切な栄養が含まれています。元気に長生きするためには、動物性食品に豊富に含まれるビタミン・ミネラルはとても重要なのです。これらをしっかり食べないと、筋肉、免疫、骨密度などが低下するだけではなく病気になりやすくなります。特に中高年層では、粗食は栄養不足になる可能性が高いので注意が必要です。年齢によって、化粧品を使い分けるのと同じイメージです。子供や若い人は特に何もしなくても健康的な肌を保てますが、加齢につれてそうはいかなくなります。食事も同じで、20代と中高年層では体が必要な栄養素が異なってきます。カロリーばかりに気を取られていると、肝心な栄養素が不足する可能性があります。健康的な食事とは、病気の予防に留まらず、強い骨や筋肉、健康的な心や脳、貧血や動脈硬化の少ない元気な血液など、体をトータルに元気にする食事です。
なぜ粗食・さっぱり食ではダメなのか?
心と頭に必要な栄養が不足する
動物性の食品というと、たんぱく質だけが注目されやすいですが、野菜や果物などの植物性の食品にあまり含まれないビタミン・ミネラルが豊富に含まれています。例えば、動物性の食品には、認知機能などの頭や精神の健康に欠かせないビタミンB6、ビタミンB12などが豊富に含まれています。植物性の食品にはビタミンB12は一切含まれません。
免疫・骨密度・筋肉も落ちる
ガイドの著書。本のリンク「60歳からの健康レシピ」はこちら。中高年層が必要な栄養知識とお手軽レシピがつまっています。
たんぱく質が不足すると、筋肉が落ちて免疫力の低下につながり体調を崩しやすくなります。たんぱく質が不足すれば、骨の密度も低下してしまうことが知られています。中高年層では、落ちた筋肉を回復させるのに時間がかかりますので、筋肉を落とさない努力をする必要があります。また、動物性の食品は鉄分や亜鉛などのミネラルも豊富に含まれます。例えば、鉄分は貧血を防ぎ疲労防止に役立ちますし、亜鉛は免疫アップや傷の回復などに欠かせません。
肉や魚だけでなく、乳製品や卵もまたすぐれた食品です。例えば、ヨーグルトなどの乳製品はカルシウムはもちろんのこと、腸内環境を整えて免疫アップに役立つと考えれているプロバイオティクスが含まれています。日本人は体質的に牛乳のラクトースが合わない事がよく報告されますが、ヨーグルトやチーズならばラクトースがぐっと少ないため、大丈夫な人も多いはずです。昔の人の知恵が詰まった加工方法です。卵もまたアミノ酸のバランスがよいことで知られており、ビタミンB12や脳を元気にしてくれるコリンなども含まれます。
低脂肪食はかえって健康にマイナスになる可能性も
さっぱりした食事だと脂質が不足する可能性もあります。脂溶性ビタミンであるビタミンA・D・E・Kは、脂質が不足すると、体内でうまく使われなくなります。これらの脂溶性ビタミンには、免疫や骨密度のアップ、抗酸化作用、目の健康、ガンリスクの低下などの健康効果があります。極端な低脂肪食は、オメガ3脂肪酸など、大切な脂質も不足しますので、鬱病や心臓病、ガンのリスクまで上がる可能性があると考えられています。さらに、低脂肪食だと炭水化物の摂取が増えがちになります。特に白米を主食としている場合は、血糖の変化が激しくなりやすく、インスリン抵抗性につながり、高血圧や脳卒中、糖尿病になるリスクが上がりやすくなります。
栄養タップリ=メタボではない
栄養をタップリ摂ると、太ってメタボになる……と思う人もいるかもしれませが、そうではありません。例えば、栄養価が高い食材と言えば、青魚、豆腐、納豆、牛肉、豚肉、卵、小松菜、ほうれん草、ブロッコリー、トマト、人参、椎茸、麦などがあります。栄養を重視した食事を作ると、自然にカロリーもコントロールしやすくなります。加齢につれて代謝がぐっと減ると思われがちですが、最近ではそうではないことが分かってきました。しっかり栄養を摂れば、それだけ体も頭も元気になり、アクティブなライフスタイルにつながり、自然と体重管理にもつながります。
しっかりおいしく食べて元気に長生きする体を作りましょう。